1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「誰も住まないから…」築45年の実家を取り壊そうとした50代男性→後日、市役所の窓口に行くと…職員が明かした“思わぬ事実”

「誰も住まないから…」築45年の実家を取り壊そうとした50代男性→後日、市役所の窓口に行くと…職員が明かした“思わぬ事実”

  • 2026.9.10
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、田舎の実家を相続して3年、扱いを決めかねていた50代のAさんの体験談です。

「誰も住まないから、壊してしまえば楽になる」

そう考えていたAさんでしたが、市役所で税金の仕組みを聞いて手が止まります。放置と解体、どちらにも費用がかかるというお話です。

誰も住まない実家に、毎年10万円の税金

Aさん(50代男性)は3年前、父を亡くして実家を相続しました。

弟と二人で話し合い、共有で引き継ぐことにしましたが、登記はまだ父の名義のままです。家は築45年の木造で、最寄り駅まで車で30分かかります。

売りに出しても、問い合わせはありませんでした。

かかり続けるのは、固定資産税と都市計画税です。年におよそ10万円。加えて、年に2回ほど草刈りを頼んでいて、1回2万円ほどかかります。

「壊してしまえば、建物の管理からは解放される」

Aさんは解体を考え、市役所の窓口を訪ねました。

「更地にすると、土地の税金は上がります」

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

窓口の担当者は、まず土地の税金の仕組みを説明しました。
住宅が建っている土地には、税を軽くする決まりがあります。「住宅用地の特例」といい、課税のもとになる額が下がる仕組みです。

固定資産税では、200平方メートル以下の部分が価格の6分の1、それを超える部分が3分の1になります。都市計画税では、200平方メートル以下の部分が3分の1、それを超える部分が3分の2です。

「家を壊すと、どうなりますか」

家屋がなくなると、その土地は住宅用地ではなくなります。特例が外れますので、翌年度から土地の税額は原則として上がります。

Aさんの実家の土地はおよそ180平方メートルです。土地全体が住宅用地と認められていれば、その全部が小規模住宅用地にあたります。特例が外れると、この軽減がなくなります。

ただし、翌年の1月1日に家屋がなければ、翌年度から建物分の税金はかからなくなります。固定資産税は1月1日時点の状況で決まりますので、解体した年度分の建物の税金は残ります。

土地と建物を合わせた税額が最終的にいくらになるかは、評価額や自治体の税率、負担を調整する仕組みによって変わります。

「では、いくらになるかは……」

課税明細書を持って市区町村の担当窓口に相談し、解体後の概算を確認できるか尋ねてみてください。解体を決める前に確かめておきたいところです。

放置して勧告を受けても、特例は外れる

では放置すればよいのかというと、そうとも限りません。

担当者は、もうひとつの決まりを説明しました。

適切に管理されていない空き家は、市町村から「管理不全空家」や「特定空家」に指定されることがあります。指導を受けても改善せず、勧告まで進んだ場合、住宅用地の特例は外れます。

つまり、建てたまま放置しても、税金が上がる道があるということです。

以前は、倒壊のおそれや、衛生上・景観上の問題が著しい「特定空家」が対象でした。2023年の法改正で、その手前の段階である「管理不全空家」も勧告の対象に加わりました。

「草刈りを続けていたのは、無駄ではなかったのですね」

草刈りだけで十分とは限りませんが、管理を続けていることは判断材料になります。なお、更地にしても土地は残りますので、草刈りそのものは必要です。

相続登記には「2027年3月末」という期限

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

帰り際、担当者はもうひとつ確認しました。

「相続の登記は、お済みですか」

Aさんは、父の名義のままだと答えました。

相続登記は2024年4月1日から義務になりました。不動産を取得したと知った日から3年以内に申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。

施行より前に相続した不動産も対象です。この場合の期限は、2027年3月31日までとされています。Aさんが相続したのは施行より前ですので、この期限が当てはまります。

「2027年3月31日まで、あと半年ほどしかありません」

売却するには、その前に相続登記を済ませておく必要があります。また、土地と建物をまとめて売る場合や解体する場合は、弟との共有ですので二人の合意が要ります。

空き家は、置いておくだけでも費用がかかり、手を入れても費用がかかります。どれを選ぶかを決める前に、名義と税額の現状を確かめておくことが大切です。

実家をそのままにされている方は、登記の状況を法務局で、更地にした場合の税額を市区町村の窓口で、それぞれご確認ください。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ