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業者「何でも買い取ります」→20万円の指輪を“たった数千円”で渡してしまった80代母…帰省した50代娘が取った“逆転の一手”

  • 2026.9.3
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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、実家に帰省したときに、お母さまが指輪を手放していたことを知った50代のAさんの体験談です。

「一度売ってしまったのだから、もう戻らない」

そう思っていたAさんでしたが、相談先で法律の定めを教わります。訪問買い取りのルールと、期限をご紹介します。

祖母の指輪が、引き出しから消えていた

実家に帰省したAさん(50代)は、母(80代)の様子がふさいでいることに気づきました。

理由を尋ねると、母は小さな紙を差し出しました。買い取りの明細でした。

数日前、「ご不用品を何でも買い取ります」という電話があり、来訪した業者に、使わなくなった衣類とあわせて指輪を渡したといいます。

明細に書かれていた金額は、数千円でした。

その指輪は、母が祖母から受け継いだものです。以前に鑑定したときは20万円ほどと言われていました。

「売ると言ってしまったのだから、仕方ないでしょう」

母はそう繰り返しました。

「8日以内なら、取り戻せます」

Aさんが消費生活センターに電話をすると、担当者はまず日付を確認しました。

自宅を訪ねてきた業者に物品を売る取引は、特定商取引法で「訪問購入」と定められています。この取引には、クーリング・オフの制度があります。

法律で定められた事項が記載された契約書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録によって契約を解除できます。

母が業者から書面を受け取ったのは4日前でした。期限内です。

「契約書に、解約はできないと書いてありました」

そうした特約があっても、効力はありません。クーリング・オフを制限する取り決めは無効とされています。

渡す前なら、断ることもできる

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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

担当者はもうひとつ、Aさんが知らなかったことを説明しました。

クーリング・オフができる8日の間は、売った物を業者に引き渡すこと自体を拒めます。契約を交わしていても、その場で渡す義務はありません。

さらに、業者の側にも義務があります。引き渡しを受けるときには、相手に対して「引き渡しを拒める」旨を告げなければならないと定められています。

母は、そのような説明を受けた覚えがありませんでした。

なお、契約書面に法律で必要とされる記載が欠けている場合、8日の数え始めが始まらないことがあります。書面が手元にあれば、捨てずに残しておくことが大切です。

手続きは、本人が行う

Aさんは母と一緒に、解除を通知する書面を作りました。

クーリング・オフをするのは、契約した本人です。今回は母が契約者ですので、母の名前で通知します。家族は、書き方を調べたり、投函に付き添ったりする形で支えることになります。

通知は、書いた内容と送った日付が残る方法で出しておくと確実です。

指輪は、期限内に手元へ戻りました。

金の価格は世界的な高騰が続いており、国内の店頭小売価格も1グラムあたり24,000円を超える歴史的な高値水準となっています。国民生活センターによれば、訪問購入に関する相談は全国で年に7,500件前後が寄せられています。

なお、自動車など一部の物品はクーリング・オフの対象外とされています。

高齢のご家族が一人で応対する機会が増える時期です。帰省の折に、見慣れない明細や名刺が残っていないか、一緒に確認してみてください。日付が分かれば、まだ間に合う場合があります。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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