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影薄モブ男子×超有名インフルエンサー。ギスギスなしの“格差恋愛”に悶絶!『春は雲の上』【書評】

  • 2026.8.20
春は雲の上 1 ソノヘンノ高橋/白泉社
春は雲の上 1 ソノヘンノ高橋/白泉社

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恋は私たちをかき乱して、そのままではいさせてくれない。自分では制御できないときめき、焦燥、疾走感。この漫画は、そんなみずみずしい感情を、ページをめくるたびにダイレクトに感じさせてくれる。……恋っていいものだなぁ。私もこんなまっすぐな恋をしてみたいなぁ…。

読めば、そう思わずにいられないのが、『春は雲の上 1』(ソノヘンノ高橋/白泉社)。影の薄すぎるモブ男子と超有名インフルエンサーのラブコメディだ。ふたりの恋模様は、とってもピュアで、みているだけで悶絶もの。ニヤニヤが止まらず、ギャグ要素でクスッと笑わせながらも、ふたりのまっすぐな思いに、なんだかウルッとさえしてしまう。読むほどに心が洗われ、浄化されていくような、尊すぎる恋物語なのだ。

影の薄すぎるモブ男子×超有名インフルエンサーのラブコメディ

主人公は、田中想太・15歳。とにかく影が薄く、自分のことを生まれながらの「モブキャラ」だと自認している高校生だ。

存在感がなさすぎてクラスメイトに名前も覚えてもらえない日々を送っているが、実はこっそりクラスメイトに片想い中。その相手は、SNSフォロワー10万人超えの、超有名インフルエンサー・小桜花恋。花恋の好きなタイプは「王子様みたいに優しい人」らしく、どう考えても自分は花恋の眼中にはない。

モブな自分とはこのまま関わることなんてないだろうと想太が思っていたある日のこと、彼はひょんなことから花恋の恋愛相談相手になることになり……。

モブ男子・想太の恋を思わず応援したくなる

ページをめくればめくるほど、まず惹きつけられるのは、モブ男子・想太の意外な魅力。想太は確かにびっくりするほど存在感がないが、実はとびきり優しいのだ。たとえば、恋愛相談を頼まれた想太は、花恋の思い人を自分の幼なじみに違いないと考え、花恋のために徹夜してまで、幼なじみの取扱説明書をどっさり用意する。

花恋のことが好きでたまらないのに、「好きな人と好きな人が一緒にいて幸せになれるとしたら、それ以上の幸せはない」「こんなモブでも役立てるように頑張ろう」なんて健気なことを考えるのだ。また、インフルエンサーとして活躍する花恋が、実は注目されるのがあまり得意ではないことを想太に吐露し、自らのことを「ただの八方美人だ」と自嘲すると、想太は「八方を喜ばせるって簡単じゃないよ」「もちろん無理しすぎないでほしいけど、でもさ疲れちゃうぐらい人を笑顔にしようと頑張れるってすごく優しいことだと思うよ」なんて温かい声をかける。

そんな想太の思い人・花恋もまた、なんていい子なのだろう。想太は花恋のことを雲の上の存在だと思っているが、彼女もまた、等身大の悩みを抱えるひとりの高校生だ。人気者とはいえ、それを鼻にかけるタイプではなく、誰に対しても分け隔てなく接するし、高校生らしい悩みに心を揺らしている。花恋の人柄を知れば知るほど、想太が思うほど遠い存在ではないように感じられる。それなのに、想太自身は彼女との間に大きな隔たりがあると思い込んでいるからこそ、切ない。こんなに優しい想太が、こんなに魅力的な花恋に思いを寄せている。ふたりの人柄を知るにつれて、「どうか想太の思いが報われてほしい」と願わずにはいられないのだ。

“格差恋愛”なのに、ギスギスはなし! どこまでも可愛く温かいラブコメディ

さらに、ふたりを取り囲む友人たちも温かい。「モブ男子×有名インフルエンサー」という設定からすると、学校内での身分差や嫉妬、嫌がらせなどの波乱も想像されるが、“格差恋愛”なのに、空気がギスギスしていない。周囲のみんなも、想太の魅力に気づけば、彼を応援せずにはいられないのだ。特に、想太の強い味方となるのが、イケメンの幼なじみ、翔と凪透。ふたりとも王子様のように華がありながら、目立たない想太の本当のよさを理解し、いつも周囲のことを優先して自分を犠牲にしてばかりいる想太を心配している。想太の花恋への思いにいち早く気づき、応援する幼なじみたち。そんな彼らとの関係性にも胸が熱くなるのだ。

好きな人の前でついつい目をキラキラさせてしまう姿も、ときにヤキモチを焼いてしまう姿も、好きな人に自分が釣り合っているのかと思い悩む姿も、予期せぬすれ違いさえも、ああ、すべてがかわいい。大好きなあの人のために変わりたい。あの人の隣にふさわしい自分になりたい。そう願う、高校生たちの成長にキュンとくる。想太と花恋の関係は、これからどう変わっていくのか。この物語を読み終えたころには、きっとあなたも、「恋っていいものだなぁ」と頬がゆるんでいるはず。恋のまぶしさがギュッと詰まったこのラブコメディを読んで、あなたも、この夏、恋、はじめてみませんか。

文=アサトーミナミ

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