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「バス停まで、一緒に探してみますね」道中で落とした子どもの宝物のために、宿のスタッフが動いた瞬間

  • 2026.8.21

ロビーに聞こえてきた小さな泣き声

友人と二人で出かけた温泉旅行。

宿のロビーでチェックインの順番を待っていると、すぐそばから小さな泣き声が聞こえてきた。

振り返ると、幼い子どもを連れた家族がフロントで何かを相談している。

母親が背中をさすっても、泣き声はいっこうにおさまらない。

旅の始まりにしては、ずいぶん張りつめた空気だった。

耳に入ってきたのは、道中でぬいぐるみを落としてしまったという話だった。

子どもがずっと抱えていたお気に入りで、宿に着いて荷物を下ろしたときに、初めてなくなっていることに気づいたらしい。

小さな手からいつの間にか離れてしまったらしく、その子自身も、どこでのことなのか説明できずにいた。

「どこで落としたのか、まったく見当がつかなくて」

父親が申し訳なさそうにそう言った。

バスを降りてから歩いた道なのか、その前なのか、心当たりが多すぎて絞りきれない。フロントに尋ねられても、答えられることが何もないという様子だった。

「新しいのを買おうねって言ってるんですけど、聞かなくて」

母親の声には、もうあきらめの色がにじんでいた。

子どもは抱き上げられても首を横に振り続けている。順番を待つ列に並んだ私と友人は、顔を見合わせることしかできなかった。

外から飛び込んできた明るい声

そのときだった。カウンターの内側にいたスタッフが、手を止めて家族のほうを向いた。

「バス停まで、一緒に探してみますね」

そう言うと、上着を取ってきて家族と一緒に外へ出ていった。

引き止める間もない早さだった。残された私たちは、閉まっていく自動ドアをただ見ていた。

「見つかるといいね」

友人が小さくつぶやいた。私も同じことを思っていたけれど、正直なところ、あまり期待はしていなかった。

落とし物というのは、たいてい見つからないものだと知っていたからだ。

チェックインを済ませ、鍵を受け取って部屋へ向かおうとしたときだった。ロビーの外から、明るい声が飛び込んできた。

「見つかったよー!」

自動ドアが開き、子どもが小さな体で駆け込んできた。腕の中には、少し土のついたぬいぐるみがしっかり抱えられている。

さっきまで泣いていたのが嘘のような顔だった。

「ありがとうございました」

両親が何度も頭を下げる。スタッフは笑って首を振り、そのままカウンターへ戻っていった。

ロビーにいた人たちが、誰からともなく自然と笑顔になっていた。階段を上がりながら、私も友人も、まだ少し頬がゆるんでいた。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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