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「2万円しか包んでないよね、あなた」法事のあとの食卓で金額を持ち出した叔母。だが、私の一言で黙り込んだ

  • 2026.8.20

和やかな食卓で、叔母が急に金額の話を始めた

三年前、実家に親戚が集まった日のことだ。

法事を終えて、みんなで座卓を囲んで食事をしていた。

誰の子がいくつになっただの、近所の道が新しくなっただの、他愛のない話が続いている。

母が煮物の鉢を運び、いとこがビールの栓を抜く。久しぶりに会う顔ばかりで、穏やかな時間だった。

その空気が、五十代の叔母のひと言で止まった。

「2万円しか包んでないよね、あなた」

何の話なのか、一瞬わからなかった。去年のいとこの結婚祝いのことだと気づくまでに、少し間があった。

箸を持つ手が止まる。さっきまで笑っていた向かいの親戚が口を閉じ、目だけをこちらに向けた。

会話が途切れて、つけっぱなしのテレビの音だけが、やけに大きく聞こえた。

「うちは3万円渡したよ。親戚なんだから、もう少し気持ちを見せないと」

叔母は笑いながらそう続けた。意地悪をしている顔ではない。自分の物差しがいちばん正しいと、心から信じている顔だった。

額をどう決めたのかを、この場で説明する気にはなれなかった。人にはそのときどきの事情がある。ただ、それだけのことだ。

「そのときの状況で決めただけです」

私はそう返したが、叔母は引かなかった。

「若いんだから見栄張らんと。うちの息子は全部3万円以上よ」

笑顔を消さないまま、私が伝えたこと

周りの親戚は気まずそうに黙っていた。

誰も止めない。箸の音だけが響いて、誰かが小さく咳払いをした。ここで苦笑いのまま流してしまえば、この話は先々まで、集まるたびに何度でも蒸し返されるのだろう。

母にも、名前を出されたいとこにも、そのたびに気まずい思いをさせることになる。そう思った。

私は箸を置いて、笑顔は消さないまま、叔母のほうを向いた。

「叔母さん、包む額って、そのときどきの事情で決めるものですよね。よその家がいくら包んだかを、こういう席で数えるのはやめませんか」

声を荒らげたわけではない。責めるような口調にもしなかった。ただ、はっきりと言った。

「みんなでご飯を食べている場で、出す話ではないと思います」

叔母は何か言いかけて、そのまま口を閉じた。短い沈黙のあと、別の親戚が「そうよね」と静かに続けてくれた。

それをきっかけに、話題は庭木の手入れへ移っていく。叔母もいつのまにか、その輪に入って笑っていた。

帰り道、母は前を向いたまま短く言った。

「よく言った」

それだけだった。慰められるより、その短いひと言のほうがずっとうれしかった。あの食卓で黙らずに済んだことを、流れていく景色を見ながら、静かにかみしめていた。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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