1. トップ
  2. 「僕も一緒に、娘の親権を持ちたい」離婚間際の夫から突然の要求。「共同親権」をめぐって揺れる妻の姿を描いたセミフィクション【書評】

「僕も一緒に、娘の親権を持ちたい」離婚間際の夫から突然の要求。「共同親権」をめぐって揺れる妻の姿を描いたセミフィクション【書評】

  • 2026.8.18

【漫画】本編を読む

離婚によって夫婦という関係は終わらせられるが、親と子の関係はそう簡単にはいかない。2026年に施行された法律で選択できるようになった「共同親権」を題材にした『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』(とーやあきこ/KADOKAWA)は、その法律の施行をめぐって揺れる夫婦の姿を描いたコミックエッセイである。

主人公の薫は、正論ばかりを振りかざす夫との生活に限界を感じ、幼い娘・ゆりかを連れて離婚を決意する。新しい生活へ向けて準備を進めていた矢先、夫から突然「共同親権を持ちたい。認めない限り離婚はしない」と切り出される。その日は、共同親権が選択できるようになる法律が施行された日だった。子どもの成長のために今後も父親も子育てに関わるべきではないかという思いと、一緒に暮らせない相手と離婚後も関わり続けることへの不安に、薫は板挟みになる。

その後、夫とは平行線をたどり、義両親も交えた話し合いへと発展していく。薫は弁護士に相談しながら、共同親権を持たずに離婚できる方法を模索するが、糸口が見えないまま、八方塞がりの状況に追い込まれる。子どもの幸せとは何か。親としての責任とは何か。答えの出ない問いに向き合うなかで、薫がたどり着いた結論とは……。

本作で印象的なのは、読み手を共同親権に賛成か反対かという結論へ導こうとしないことだ。制度を断定的に紹介するのではなく、「子どものため」という言葉の重さや、当事者だからこそ抱える戸惑いを伝えていくことで、形としての法律だけを見ていては気づきにくい、人と人との感情や価値観のすり合わせの難しさを描いている。

共同親権という言葉は知っていても、当事者が何に悩み、何を恐れるのかを具体的に知る機会は多くない。本書は制度を説明するためだけではなく、離婚という岐路に立たされた家族の姿を通して、その選択の重さを伝えてくる。読後、あなたの胸にはどんな思いが残っているだろうか。

文=つぼ子

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ