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【ルームツアー】大胆さと静けさが共にある、巨匠デザイナーピエロ・リッソーニの自邸

  • 2026.8.18
Tommaso Sartori

建築家兼デザイナーのピエロ・リッソーニが妻と共にリノベーションしたトスカーナ州の別邸。ギャラリーのようなミニマル空間が、夫妻の作品と旅先で買い求めた品々を引き立てる。『エル・デコ』2026年8月号より。

Tommaso Sartori

大理石職人の工房を2年かけてリノベーション

イタリア、フィレンツェの西方80kmに位置する町、ピエトラサンタ。ミラノを拠点とするピエロ・リッソーニと妻のヴェロニカ・ガイドは、海を望む穏やかなこの地に別邸を構える。かつてここは大理石を扱う職人が働いていた工房だった。「リノベーションは、まさに共同作業でした」と夫妻は口をそろえる。「リサーチの段階から『伝統に縛られないような空間をつくろう』と話し合ったんです」

<写真>リビングにはチャールズ&レイ・イームズのシェーズロングにマラケシュで購入したラグを合わせている。

Tommaso Sartori

プロジェクトには、2年ほどの年月をかけた。リッソーニがデザインした家具や20世紀の名作と共に、各地で集めた思い出の品々が室内を彩る。「旅に出ると、その都市の骨董品店やのみの市に行くんです」と二人は言う。

<写真>彫刻のような階段が印象的な、吹き抜けのリビングエリア。ソファは、リッソーニが「リビングディバーニ」のためにデザインした“ロッド”。テーブルランプは、カスティリオーニ兄弟による「フロス」の名作照明“タッチア”。

Tommaso Sartori

こだわりの家具やコレクションを引き立てるため、内装はニュートラルに。「床材には樹脂モルタルを使用しました。ここで展示会を行うこともあるので、ギャラリーのような空間を意識しています。改装前のインダストリアルな雰囲気を残しつつ、私たち自身の歴史も刻んでいきたいです」

<写真>リッソーニが「ポッロ」のためにデザインしたテーブル“タブロ”を中心に、ジョージ・ナカシマによる“ストレートチェア N19”などの名作チェアが並ぶダイニング。壁には妻のヴェロニカ・ガイドの作品が飾られている。

Tommaso Sartori

夫妻は、既存の高い天井を最大限に生かすべく、2階を増設。そして、これを支える「巨大なコオロギの脚のような」6本の柱の間に、キッチンを配置した。「レストラン兼バーです」とリッソーニ。

家の中心にはスタジオを設け、ソファと照明、本棚をシンプルに配置した。「本棚は、2カ所に置いています。スタジオにはデザイン史にまつわる専門書を並べました。一方で2階の寝室に置いた本棚には、個人的な趣味が反映されています」

<写真>スタジオの照明はマリアノ・フォルチュニーが手掛けた“パルッコ”。本棚はイタリアの家具ブランド、「ポッロ」によるカスタムメイド。ソファ“サケ”は日本酒にちなんで名付けられた、リッソーニ自身がデザインした「B&B イタリア」の製品だ。

Tommaso Sartori

リッソーニとガイドに、この家での暮らしについて尋ねると、「品質にこだわった作品集の中に身を置いているよう」という答えが返ってきた。実は今回、撮影を担当したのはトマーゾ・サルトーリ。30年にわたり、リッソーニと協働してきたフォトグラファーだ。夫妻の美意識が息づく空間がサルトーリの視線を介して、まるで一冊の上質な作品集のように写し出された。

<写真>「ポッロ」のガラス張りのキャビネット“エクスリブリス”をキッチンに採用。

Tommaso Sartori

Piero Lissoni(ピエロ・リッソーニ)
建築家・デザイナー。ミラノ工科大学卒業後、ニコレッタ・カネージと共にスタジオを設立。建築やプロダクトの発表はもちろんボッフィなど世界的ブランドのアートディレクターも務めている。

<写真>左から写真家のトマーゾ・サルトーリ、ピエロ・リッソーニ、ヴェロニカ・ガイド。日光東照宮の三猿をまねて「見ざる、言わざる、聞かざる」のポーズをしている。

Photo:TOMMASO SARTORI

Original Text:PORZIA BERGAMASCO

Text:CHISATO YAMASHITA

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『エル・デコ』2026年8月号



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