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「電車の中で、音を出したまま見ている」朝の混雑した車内で動画を見る乗客。だが、他の乗客の行動で状況が一変

  • 2026.8.18

混雑した車内で、動画の音が聞こえてきた

朝の通勤電車は、いつものように混んでいた。ドアのそばに立った私は、人に押されないよう足元だけを気にしながら、目的の駅までじっと耐えていた。

目の前には、スマホを手にした男性が立っていた。画面を見ているだけなら、朝の車内では珍しくもない。

ところがしばらくすると、すぐ近くから人の話し声が聞こえてきた。

最初は誰かが通話しているのだと思った。だが声は何人分もあり、ときどき笑い声や効果音まで混じっている。

音の出どころを探して、ようやく気づいた。

目の前の男性が、スマホで動画を再生していたのだ。

耳にはイヤホンらしきものは見当たらない。動画の音声が、そのまま車内に流れていた。

「電車の中で、音を出したまま見ているんだ」

驚いて周囲を見ると、近くにいた乗客も何人か男性のほうへ目を向けていた。

音量は車内中に響くほど大きくはない。

それでも、すぐそばにいれば内容が分かる程度には聞こえてくる。

誰も注意しないまま、音だけが続いていた

私は一度、「音、出ていますよ」と伝えようかと思った。

ただ、この日は肩が触れ合うほどの混雑だった。男性との距離は近いのに、正面を向いて声をかけるのもためらわれる。

周囲の人も同じだったのかもしれない。

男性のほうを見る人はいる。しかし、誰も声はかけなかった。

男性はときどき画面を操作しながら、次の動画を再生していく。そのたびに別の声や音楽が流れ始める。

「本人は気づいていないのかな」

そう思っていたとき、電車が駅に着いた。

ドアが開き、乗客が一斉に動き出す。私も降りるために人の流れに乗った。

その瞬間だった。

男性のすぐ横を通った乗客が、自分の耳を指さしたあと、男性のスマホをちらりと指した。

声は聞こえなかったが、意味は十分伝わったようだった。

男性は一瞬きょとんとした顔でスマホを見下ろし、慌てたように音量を下げた。

ホームに降りた私の背後で、さっきまで聞こえていた動画の音が止まった。

注意するというと、つい強く言わなければならないような気がしてしまう。でも、あの乗客のように、相手に気づいてもらうだけなら別の伝え方もあるのだと知った。

何も言えずにいた自分には少し引っかかりが残ったが、音の消えた車内を見送りながら、少しだけほっとした。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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