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一生使い続けたい、インゲヤード・ローマンのガラスの器【エディターの偏愛録】

  • 2026.8.17

シンプルで端正な輪郭に、温かみを加えるわずかなゆらぎ

自宅にあるインゲヤード・ローマンの食器の一部。 Hearst Owned



職業柄、日々さまざまな器に出会います。もともとの物欲強めな性格もあり、気に入るとすぐ置き場所も考えず買ってしまうため、自宅の食器棚は常に満席…。ですが、そんな食器棚のガラス器ゾーンをほぼ占めているのが、インゲヤード・ローマンの器であることに気が付きました。

インゲヤード・ローマンは、スウェーデンを代表する女性デザイナー・陶芸家。80代を迎えた今もなお、デザインに向き合い活動されています。

私の毎日に欠かせないのが、彼女が1981年にスクルーフから発表した「ベルマン」のタンブラー。一見すると極めてシンプルで純粋なデザインですが、驚くほど使いやすい。ちょうどよく手に馴染む直径や、やわらかな口当たり、繊細すぎない安心感のある厚みなど、細部まで考え抜かれているのがわかります。

ハレの日は旅の思い出と、ひと目惚れのグラス

友人が遊びに来たときは、好きな方を選んでもらっています。(今気が付きましたが、パンが大量…) Hearst Owned

毎日のテーブルに登場する「ベルマン」のほかに、友人が遊びに来た時に活躍するのが写真にある2つの脚付きグラスです。

背が低いものは、実はアイスシードル用のグラス。スウェーデンのシードルメーカーが彼女にデザインを依頼したことがきっかけで生まれ、製造は「ベルマン」と同じスクルーフが手掛けています。ころんとしたフォルムに一目ぼれして、シードルを買わずに先にグラスを買ってしまいました。

背が高いものは私が心から愛するスウェーデンの老舗インテリアブランド、スヴェンスク・テンのためにデザインされたもの。スウェーデン出張の際に購入し、お店の人に過保護な梱包をしてもらって一緒に帰国した思い出の器です。

残念なことに「ベルマン」シリーズは2018年に生産終了となってしまい、過去に1脚割ってしまった時には大層うろたえました。ですが現在はオンラインショップのスコープが大阪のガラス工房frescoに制作を依頼し、生産再開しています。

金型があるとはいえ、手吹きガラスの輪郭や佇まいは職人の匙加減にゆだねられます。それでも誰が見ても「インゲヤード・ローマンのベルマンだ」と思える器をつくることは、実はとても難しい。職人とデザイナーのプロダクトへの深い理解と互いの尊敬があって生まれているからこそ、今も、これからもタイムレスな美しさを放つ器なんだろうなと思っています。

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