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「これ、忘れ物ですよ」砂場のそばにゴミを置いたまま帰ろうとした保護者。だが、別の保護者がさりげなくかけた一言

  • 2026.8.17

砂場のそばに、空になった袋が置かれていた

風のない、よく晴れた午後でした。近所の公園の砂場には何家族かが集まっていて、私も子どもの隣にしゃがみ込み、型で抜いたプリンを作っては崩される、という遊びを何度も繰り返していました。

そこへ、小さなお子さんを連れたお父さんがやって来ました。3〜4歳くらいでしょうか。その子は着いたそばからスコップを握り、砂場のまんなかへ駆けていきます。

「パパ、みててね」

お父さんは「見てるよ」と返事をしながら、砂場の縁に腰を下ろしました。

しばらくすると、持っていた小さなお菓子の袋を開け、子どもを見守りながら食べ始めました。

休日の公園ではよくある光景ですし、その時点では私も特に気にしていませんでした。

ただ、食べ終わったあと、お父さんは空になった袋をくしゃっと丸めると、砂場の外側にあるベンチの足元へ置いたのです。

最初は、あとで持って帰るつもりなのだろうと思いました。

「パパ、こっち来て!」

子どもに呼ばれると、お父さんはすぐに立ち上がり、砂場の近くまで歩いていきます。袋はそのままでした。

風が吹くたび、軽い袋が少しずつ動きます。砂場のほうへ転がってこないか気になり、私は何度か目を向けました。

周りの親御さんたちも気づいているようでした。それでも、持ち主がまだ近くにいる以上、わざわざ声をかけるほどでもないのかもしれません。

「帰るときに持っていくんだろうな」

私もそう思うことにしました。

責める言葉は、ひとつもなかった

ところがしばらくして、お父さんが子どもに声をかけました。

「そろそろ帰ろうか」

子どもはスコップを片づけ、お父さんのところへ走っていきます。お父さんも荷物を持ち、公園の出口へ向かおうとしました。

けれど、ベンチの足元に置かれた袋には目も向けません。

本当に置いていくつもりなんだ。

そう気づいたものの、私は声をかけられませんでした。わざと置いたのか、それとも単純に忘れているだけなのかも分からなかったからです。

そのときでした。

少し離れたところで自分の子どもを見ていた別のお父さんが、ベンチのそばまで歩いていきました。

足元にあった袋を拾い上げると、帰ろうとしていたお父さんのほうへ数歩近づきます。

そして、落とし物を届けるのと同じような穏やかな声で言いました。

「これ、忘れ物ですよ」

それだけでした。

「ゴミを捨てないでください」と責めるわけでも、「ちゃんと持ち帰ってください」と注意するわけでもありません。

声をかけられたお父さんは一瞬きょとんとしたあと、袋を見て「あっ」と小さく声を漏らしました。

「すみません、ありがとうございます」

そう言って袋を受け取ると、自分の荷物の中へ入れました。

本当に忘れていただけだったのか、それとも置いて帰ろうとしていたのかは分かりません。

ただ、その人はそれ以上何も言わず、子どもの手を引いて公園を出ていきました。

残ったお父さんも、何事もなかったように自分の子どものところへ戻っていきます。

私はそのやり取りを見ながら、少し驚いていました。

相手を決めつけず、声を荒らげず、それでも「ここに置いたままにはしない」という意思だけはきちんと伝わっていたからです。

あとで家族に話したとき、いちばん印象に残っていた言葉は、やはりあの一言でした。

「これ、忘れ物ですよ」

強く注意することだけが、相手に気づいてもらう方法ではないのかもしれません。公園で起きたほんの数秒の出来事でしたが、今でもよく覚えています。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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