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甘えない、撫でさせない、突然のやんのかポーズ! 飼い主に一切媚びない誇り高き黒猫とのかわいい攻防の毎日を描いた猫漫画【書評】

  • 2026.8.15

【漫画】本編を読む

猫と暮らしていると、たまに彼らから試されているような気持ちになることはないだろうか。『筆坊日記』(夏宇/KADOKAWA)は、決して飼い主に媚びない黒猫・筆坊(ふでぼう)と、そんな愛猫に振り回される飼い主の日々を描いた猫コミックだ。

筆坊は、保護猫として飼い主のもとへやってきた黒猫である。黄色い丸い目に、黒くてもふもふした体。いつもビックリしているような表情の猫なのだが、その中身はかなり誇り高い。なでられても簡単には目を細めず、添い寝してきたり、甘えてきたりすることもほとんどない。それどころか飼い主を強い目力で見つめ、近づけば逃げ、隙あらば鋭い一撃を繰り出してくる。

飼い主への威嚇と攻撃が日課の筆坊だが、寝起きだけは様子が違う。白目をむきながら母猫の母乳を吸うがごとく飼い主の首を吸ってくるのだ。長いときは2時間ほど吸い続け、そして吸い終わると手のひらを返したように去っていく。吸われている間は筆坊を支えていないといけないため手がふさがってしまう飼い主は、考えた末に赤ちゃん用のスリングを試してみることにするが、その結果は……。

猫らしい気まぐれさを超えて、筆坊には独自のルールとプライドがある。お気に入りのおもちゃを飼い主のもとに持ってきて、ひたすら投げさせる。飼い主が床で横になり、少しでも油断を見せたら噛みついてくる。その行動は全く理解不能なのだが、読み進めていくうちに「次は何をやらかすのか」と期待が膨らんでいくのが面白い。そして気がつけば、決して人間に媚びることのない筆坊の「矜持」がたまらなく愛おしくなっていることだろう。懐いているのか、懐いていないのか。判断がつけられない距離の取り方が筆坊の魅力だ。

どんなに邪険にされたとしても、伝わってくるのは飼い主の深い愛情だ。強個性を持つ猫との緊張感を伴う暮らしを描いた漫画で笑って癒やされてはいかがだろうか。

文=坪谷佳保

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