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「なんでみんな、黒い服なの?」読経が始まった直後に子どもが放った問い。だが、母が返したやさしい言葉とは

  • 2026.8.16

読経が始まった直後、子どもの声が響いた

数年前、親戚の法事に出席したときのことです。

久しぶりに親族が集まり、和室には座布団が並べられていました。始まる前までは近況を尋ね合う声も聞こえていましたが、僧侶が座につくと、部屋の中は自然と静かになっていきました。

やがて読経が始まり、大人たちは姿勢を正して手を合わせます。

その直後でした。

「なんでみんな、黒い服なの?」

まだ幼い従姉妹の子どもが、母親を見上げながら尋ねたのです。

本人にとっては、目の前にいる大人たちがそろって黒い服を着ていることが、ただ不思議だったのでしょう。

静かな和室だったこともあり、その声は思った以上によく響きました。

私は思わず顔を上げました。周囲の親族も、一瞬だけ動きを止めたように見えます。

「今は静かにしようね」と注意するのだろうか。

そう思って見ていると、母親である従姉妹は、慌てて口をふさいだり、強く叱ったりはしませんでした。

母親は、子どもにも分かる言葉で答えた

従姉妹は子どものそばへ少し体を寄せ、声を落として答えました。

「今日はね、みんなでおじいちゃんのことを思い出す日なんだよ」

子どもは母親の顔をじっと見つめています。

「だから、こういう日は黒い服を着てくることが多いんだよ」

難しい説明ではありませんでした。

ただ「静かにしなさい」と止めるのではなく、なぜみんなが集まり、なぜ普段とは違う服を着ているのかを、その子にも分かるように伝えていたのです。

子どもは少し考えるような顔をしたあと、「そっか」と小さく答えました。

そして母親の隣に座り直し、それ以上大きな声を出すことはありませんでした。

読経はそのまま続いていきました。

私はそのやり取りを見ながら、もし自分だったら、とっさに「今は静かにして」とだけ言ってしまったかもしれないと思いました。

もちろん、法事では静かにすることも大切です。

けれど、何も知らない子どもにとっては、黒い服を着た大人たちが集まり、聞き慣れないお経が流れる光景そのものが不思議だったのでしょう。

その疑問を叱るのではなく、短い言葉で答えた従姉妹の姿が、今でも印象に残っています。

「今日はね、みんなでおじいちゃんのことを思い出す日なんだよ」

静かな法事の席で聞いたその一言に、子どもだけでなく、私まで少し気持ちがやわらいだ出来事でした。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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