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友人宅の床を汚した息子より先に、私が謝れなかった理由

  • 2026.8.14
ハウコレ

友人の家の玄関で、息子はサンダルを脱ぎ捨てて、廊下の奥へ駆けていきました。膝をついて拭いた床には、思っていたより多くの砂が残っていました。帰り道、手をつないだ息子に伝えた言葉があります。

外遊びが続く毎日

学生時代からの友人の家に、息子と遊びに行きました。公園で水遊びをした息子の足には、砂と泥がついたままです。うちは庭と居間が続いていて、床の砂は掃除機で吸えばいいと思って暮らしてきました。だから廊下を駆けていく足あとを見ても、いつもの光景としか受け取れなかったのです。友人が雑巾を手に廊下へ向かっても、私はソファで麦茶を飲んでいました。

浮いた笑い声

楽しそうに走り回る息子を見て、「わんぱくだね」と声をかけました。場をやわらげたつもりの一言でした。息子は「みてみて、はやいでしょ」と拭かれたばかりの床を駆け抜け、ソファに飛び乗りました。白いクッションに、泥の足あとがつきます。とっさに私はクッションを裏返して、「うちの床なんて毎日こんなだよ」と笑いました。守っているのは息子自身ではなく、自分の子育ての方だとうすうす気が付いていました。それでも謝る言葉より先に、笑いの方が出たのです。

受け取った雑巾

「拭くの、代わってくれる?」。立ち上がった友人が、絞った雑巾を私の前に差し出しました。意地悪だとさえ、一瞬思いました。受け取って廊下に膝をつくと、砂の粒がいくつも指先に触れました。その量が、私が見過ごしてきたものの量でした。「ごめん。うちでは気にしたことがなくて」。友人への反発と、そんな自分への恥ずかしさが入れ替わっていくのを、拭きながら確かめていました。

そして...

帰り道、手をつないだ息子に「よそのおうちでは、足を拭いてから上がるんだよ」と伝えました。数日後、息子と2人で、友人の家をもう一度訪ねました。玄関で息子は自分から足の裏を見せて、「よごしてごめんなさい」と頭を下げます。友人の出してくれたタオルで息子が足を拭く間、私は隣で頭を下げました。廊下は、その日も光っていました。

(30代女性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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