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「何をまいてるんだろう?」雪で滑る朝。近所の男性がまいていた物を見て、胸が温かくなったワケ

  • 2026.8.14

凍った道の先で見かけた人影

これは、去年の冬の朝のことです。

その日はこの冬いちばんの冷え込みで、玄関のドアを開けた瞬間、張りつめたような冷たい空気に思わず肩をすくめました。

一歩外へ出ると、足元がつるりと滑り、慌てて手すりにつかまりました。

家の前の道はうっすら白く凍り、朝の光を受けて光っています。いつも通っている道なのに、その日ばかりは慎重に歩かなければならないほどでした。

これは危ないなと思いながら、足元を確かめるようにゆっくり歩き出したときです。

少し先に、道へ何かをまいている人の姿が見えました。

(何をまいてるんだろう?)

近づいてみると、近所に住むおじいさんでした。

おじいさんはバケツから砂をすくい、凍って滑りやすくなった場所へ少しずつまいていました。

とくに日陰になっているところを選ぶように、黙々と手を動かしています。

「おはようございます」

私が声をかけると、おじいさんは顔を上げて笑いました。

「おはよう。今日はよう凍っとるね」

私は先ほど滑りかけた足元を見ながら言いました。

「玄関を出たら、道が凍っていてびっくりしました」

すると、おじいさんは道の先を見ながらうなずきました。

「朝はよう滑るんよ。子どもも通るし、転んだら危ないやろ思ってな」

少し先には横断歩道があり、朝になると登校する子どもたちがよく通ります。

私はその言葉を聞いて、改めて凍った道を見渡しました。

「そりゃ助かるわ」と笑ったおじいさん

朝早くから砂をまく姿を見ていると、その何気ない心遣いがとてもありがたく感じられました。

「少し手伝います」

思わずそう声をかけると、おじいさんは少し驚いた顔をしました。

「ええんか?」

「はい。二人のほうが早いですし」

そう答えると、おじいさんはうれしそうに笑いました。

「そりゃ助かるわ」

バケツを分けてもらい、二人で道に砂をまいていきました。

おじいさんは「日が当たらんところは特に凍りやすいんよ」と教えてくれました。言われて見てみると、塀のそばや建物の影になっている場所ほど、まだ白く凍っています。

普段は道ですれ違えば挨拶をする程度で、こんなふうにゆっくり話したことはありませんでした。

「毎年こんなに凍るんですか?」

私が尋ねると、おじいさんは砂をまきながら答えました。

「寒い朝はたまにな。ここで滑った人も前におったから、気になるんよ」

なるほどと思いました。おじいさんにとっては大げさなことではなく、危ない場所に気づいたから少し砂をまく。ただそれだけなのかもしれません。

それでも、その行動のおかげで安心して歩ける人がいるのだと思うと、胸が温かくなりました。

しばらくして砂をまき終えると、おじいさんは道を見渡して、「これなら大丈夫やろ」と満足そうにうなずきました。

私も歩いてみると、先ほどより足元がずっと安定していました。

普段は挨拶を交わすだけだった近所の人の、知らなかった一面を見た朝でした。

誰かのために何かをするというのは、特別に大きなことでなくてもいいのかもしれません。自分も身近なところで困っていることに気づいたら、さりげなく動ける人でいたい。

凍った道を見るたびに、今でもあの朝のおじいさんの姿を思い出します。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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