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「3万は包みなさい、当然でしょう」私に迫った母が、これまで私が渡したお年玉の総額を見て折れた夜

  • 2026.8.4

五千円ずつ、三人分

私には弟が一人おり、母の弟にあたる叔父の家には、子どもが三人います。私はその三人のいとこへ、社会人になった年から毎年、お年玉を渡すのが習わしになっていました。

渡す額は一人五千円、三人で一万五千円です。独身のあいだはずっと、お正月が来るたびに、私だけが包み続ける側でした。弟はまだ学生で、渡すのはいつも私の役目だったのです。

「あの家は子だくさんで大変なんだから、あなたが気にかけてあげなさい」

「うん、私が用意しておくね」

母にそう言われるたび、私は素直にうなずいていました。親戚付き合いとはそういうものだと信じていましたし、いとこたちが袋を受け取って笑う顔を見るのは、私自身も嬉しかったからです。何年ぶんも積み重なった金額を、いちいち数えたことなどありませんでした。

総額を見せた夜

流れが変わったのは、私が三十歳で結婚したときでした。叔父からのお祝いは、一万円だったのです。

「これは気持ちだけ、ね」

そう言って渡された封筒を前に、長年渡してきたお年玉のことが、どうしても頭をよぎりました。もちろん、いただいたお祝いに文句を言うつもりはありません。それでも、なぜだろうという思いだけは、静かに胸の底に沈みました。

さらに翌年、叔父の長男が結婚することになりました。すると母は、迷いもせずに私へこう言ったのです。

「3万は包みなさい、当然でしょう」

これまでの私なら、そのまま従っていたと思います。けれどその夜、私は感情的になる前に、ずっとつけてきた家計簿を持って母のところへ行きました。

そこには、毎年のお年玉やご祝儀が、日付と金額まで書き留めてあります。私はそのページを開いて、母の前に置きました。

「毎年これだけ渡してきて、私がもらった額とは、これだけ差があるの。付き合いは大事。でも、一方通行はおかしいでしょう」

一人五千円、三人で一万五千円。それを何年も続けてきた合計と、一万円というお祝いとの差を、私は順に指でなぞって見せました。声を荒らげることも、責めることもしませんでした。

母はしばらく、その数字を見つめていました。そして、小さく息をついて言ったのです。

「……確かに、あなたの言う通りね」

細かいことと片づけてきた母が、初めて私の側に立ってくれた瞬間でした。結局その年は、母と相談して包む額を見直すことになりました。金額そのものより、長く続けてきた気持ちを、ようやく数字として認めてもらえたことが、私には何より嬉しかったのです。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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