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結婚しても地獄、しなくても地獄。「毒親の呪い」を抱えた姉弟が、苦しみながらそれぞれの人生と向き合う葛藤の物語【書評】

  • 2026.8.3

【漫画】本編を読む

『毒親育ちの結婚』(高嶋あがさ/竹書房)は、毒親のもとで育った姉弟が、大人になってからもなおその影響に苦しみ続ける姿を描いた作品だ。結婚すれば幸せになれるのか。親から離れれば過去は終わるのか。本作は単純には片づかない現実を、当事者の視点から赤裸々に描き出している。

主人公は、アラフォーになっても独身の姉・望と、結婚して家庭を持った弟。実家はゴミ屋敷で、望は学生時代、友人と出掛けるだけで「男と遊ぶのか」と言ってくる母親に育てられた。一人暮らしする今も、たまに帰れば母親から金をたかられ、父親はいまだに女遊びをやめない。望は「こんな家庭で育った自分が結婚なんてできるのか」と踏み出せず、弟は弟で、結婚後も親の過干渉や支配から逃れられない。結婚していない側も、した側も、それぞれ別の苦しさを抱えているという構図が非常に生々しい。ライフスタイルが変わろうともすべてが解決するわけではなく、育った環境から受けた傷は残り続ける。

毒親問題の複雑なところは、どんなにつらい思いをさせられてきたとしても、親を見捨てることができないという感情があるところだろう。家族だからこそ簡単には切ることができずに葛藤する姿を見ていると、読み手は自分の家族関係はどうだろうと考えるかもしれない。

印象に残るのは、「結婚」が決してゴールではないという視点だ。家庭環境で傷ついた人にとって、誰かと新しい家庭を築くことは望の弟のようにリスクにもなりうる。本作はその事実をしっかりと伝えてくるのだ。

親の影響から自由となるには途方もない時間がかかるが、自分の人生を見つめ直すタイミングは必ずくる。過去に縛られながらも前へ進もうとする人たちに、一筋の光を見せてくれる作品だろう。

文=座美山佐須郎

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