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「財布の小銭が、どうやら足りひんのや」会計で慌てていた客。だが、店員の落ち着いた対応に救われた瞬間

  • 2026.8.4

昼の混んだ定食屋で並んだ順番

お昼どきの定食屋は、いつも近所の常連さんで混み合っています。

その日も食べ終えたお客さんがレジ前に列を作り、私はその最後尾に並んでいました。

すぐ前にいたのは、背を少し丸めた高齢の男性です。

会計の順番が回ってくると、男性は使い込んだ財布を開き、小銭入れの中身をレジ台にそっと広げ始めました。

ところが、指先で何度数え直しても、どうやら料金にほんの少し足りないようなのです。

男性の手の動きが、だんだん慌ただしくなっていきます。

お札は入っていないのか、小銭ばかりを並べては、また数え直す。

後ろに続く私たちの列に気づいたのでしょう、肩をすぼめるようにして、申し訳なさそうに顔を伏せました。

そして男性は、レジの若い女性店員に向かって、こう続けたのです。

「財布の小銭が、どうやら足りひんのや」

混み合う店内で、後ろの列を気にしながらのその声は、聞いているこちらの胸まで小さくさせるようでした。

レジに並ぶ人の中には、時間を気にして腕時計に目をやる人もいます。

だからこそ私は、思わず身構えてしまいました。急かされたら、この人はもっと慌ててしまうだろうと。

若い店員がそっとかけた一言

ところが、女性店員は少しも慌てませんでした。

むしろ落ち着いた、柔らかな声で、男性にこう声をかけたのです。

「ゆっくりで大丈夫ですよ」

その一言で、男性の張りつめた肩から、ふっと力が抜けたのが分かりました。

店員は続けて、慣れない様子の男性に、別の支払い方法をひとつずつ順番に説明していきます。

「よろしければ、こちらの方法でもお支払いできますよ」

「はい、そこを軽く押してみてください」

レジ横から少し身を乗り出し、指先で示しながら、決して急かさない口調でした。

男性は戸惑いつつも、店員の言葉に従って、ぎこちなく指を動かします。

「こうすればええんか」

「そうです、それで大丈夫です」

やがて会計は、無事に済みました。

支払いを終えた男性は、店員に向かって深々と頭を下げます。

「助かったわ、ありがとう」

「ほんまに、おおきに」

何度も繰り返し礼を言う男性に、店員は「とんでもないです」と笑って応えました。

順番が来て会計をした私にも、同じ柔らかい笑顔を向けてくれます。急かされて当然のような場面で、誰ひとり嫌な顔をしない。

困っている人を焦らせない、たったそれだけのことで、店内にはほっとするような温かい空気が流れていました。その日はずっと、その光景が胸に残ったのです。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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