1. トップ
  2. エピソード
  3. 「何この音?」23時ごろに響く謎の音。だが、上の階の住人が明かした音の正体に唖然

「何この音?」23時ごろに響く謎の音。だが、上の階の住人が明かした音の正体に唖然

  • 2026.8.3

毎晩23時のドスドス

真上の部屋に新しい住人が入ったのは、数ヶ月前でした。

廊下ですれ違うと会釈だけしてくる、寡黙そうな同年代の男性です。

その週から、夜の音が変わりました。

(何この音?)

23時を回るころ、ドス、ドスと重い振動が天井から降ってきます。

すぐ終わるだろうと思っていました。ところが音は毎晩続き、日付が変わるまでやみません。

寝不足で目覚ましを二度寝するようになり、天井を見上げたまま朝を迎える日が増えました。深夜に筋トレでもしているのか、大音量で音楽でも流しているのか。

管理会社に相談する文面を、スマホのメモに下書きしては消していました。直接言いに行くか、それとも間に入ってもらうか。決めきれないまま数日が過ぎます。

エレベーターで切り出す

本人と乗り合わせたのは、ゴミを出しに降りた朝でした。密室に二人きりで、階数表示だけが動いていきます。

険悪になるのは覚悟のうえで、口を開きました。

「あの、夜分遅くに少し響く音が気になりまして」

男性はハッと目を見開きました。それから、こちらが申し訳なくなるほど深く頭を下げるんです。

「本当にすみません。もしかして、パンをこねる音ですか」

予想していた返事と、あまりに違いました。

「パン、ですか」

「23時くらいですかね…パンを、こねてました」

仕事が終わるのが22時過ぎで、そこから翌朝の分の生地を仕込んでいたそうです。

趣味がパン作りだと、その場で初めて知りました。台に生地を叩きつける音が、建物を伝って重低音になっていたわけです。

「筋トレか何かだと思ってました」

「そう思われても、仕方ないです」

正体が分かってしまえば、腹の立てようがありません。(パンかよ)と、肩の力が抜けました。

翌朝、玄関先で

次の日の朝、インターホンが鳴りました。紙袋を抱えた彼が立っています。

「これ、今朝焼いた分です。時間、変えました」

袋を開けると、卵とバターの匂いが立ちました。丸いパンが四つ入っていて、底のほうがまだ温かいままです。

「そこまでしてもらう話じゃないですよ」

「いえ。言ってもらえなかったら、ずっと気づかないままでした」

その日から、天井は静かになりました。かわりに休みの前の日だけ、上からかすかに音がします。ドス、ドス、と。今はもう、朝の合図みたいに聞いています。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ