1. トップ
  2. エピソード
  3. 「母は昔から誰にでも距離が近いんだ」初めて義実家に宿泊、距離感が近すぎる義母。だが、夫の一言に思わず納得

「母は昔から誰にでも距離が近いんだ」初めて義実家に宿泊、距離感が近すぎる義母。だが、夫の一言に思わず納得

  • 2026.8.2

六時半のリビング

結婚して間もない頃、初めて義実家に泊まりました。前の晩は、何時に寝るかまで夫に確認したくらいです。

朝、六時半にリビングへ行くと、義母はもう台所に立っていました。

「洗濯物も見たよ、よく眠れた?」

手を止めずに、そう聞かれました。前の晩、洗濯機に入れておいた分のことです。

「あ、はい。おかげさまで」

「寝返りの音が少し聞こえたけど、大丈夫だった。枕、合わなかったんじゃない」

湯呑みを受け取る手が止まりました。眠っている間の様子まで届いていたとは、思ってもいませんでした。

扉はノックなしで開く

部屋に戻って化粧をしていると、後ろで扉が開きました。ノックはありません。

「もっと明るい色のほうが似合うと思うよ」

鏡越しに目が合って、手が止まります。義母は洗濯かごを抱えたまま、まっすぐこちらを見ていました。

「そう、でしょうか」

「うん。うちの娘にも同じこと言ったの」

悪気がないのは、声の調子で分かります。分かるのですが、返す言葉が出てきませんでした。

夕食の席でも同じでした。私の茶碗をちらりと見て、義母が身を乗り出します。

「あなたの好みを知りたいから。人参、残ってるでしょう」

「すみません、お腹がいっぱいで」

「謝らなくていいの。次から入れないだけだから」

箸を置いたあとも、しばらく背中に力が入ったままでした。

帰り支度をしながら小声で

二日目の朝、客間で荷物を詰めながら、隣にいた夫に小声で聞きました。嫌だという話ではないのだと、前置きを三回ほど挟んで。

「お義母さんって、いつもああなの」

夫はTシャツを畳む手を止めずに、あっさり答えました。

「母は昔から誰にでも距離が近いんだ」

宅配の人にも同じことをするのだと言います。玄関先で体調を心配して、そのまま飴を握らせるのだそうです。

「高校のとき、家庭訪問に来た担任にも同じこと聞いてたよ」

ファスナーを引く手が止まりました。私が特別に見張られていたわけではなく、誰にでも等しくそうしていただけでした。

そう分かってからは、こちらの構え方も変わりました。次に泊まった朝、リビングで先に切り出したのは私のほうです。

「お義母さん、朝は八時まで起きませんので」

義母は湯呑みを持ったまま二秒ほど止まって、それから声を上げて笑いました。

「はいはい、分かりました」

今も月に一度は顔を出しています。扉は、ちゃんとノックされるようになりました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ