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今期の朝ドラが“100話”で辿り着いた答え「ふさわしい話」「いなかったな」晴れの日に不在の“ひとりの男性”に反響続出

  • 2026.8.22
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『風、薫る』第20週(C)NHK

NHK連続テレビ小説『風、薫る』が第100回を迎えた。大家直美(上坂樹里)が小川吾郎(甲斐翔真)への思いを認め、自ら新しい人生を選ぶ姿が描かれた回。かつての同窓生たちに囲まれた結婚のお披露目には、本作が描き続けてきた“家族のかたち”も凝縮されている。一方、そこに寛太(藤原季節)の姿はなかった。SNS上で「100回にふさわしい話」「寛太いなかったな」「これからどうなる?」と反響を呼んだ第100回を振り返る。

※以下本文には放送内容が含まれます。

骨折した小川を前に溢れた本音

第98回で小川からのプロポーズに対し、良い返事ができなかった直美。その理由は、小川への思いがないからではなかった。

直美には、今の家を離れたくないという気持ちがあったのだ。一ノ瀬りん(見上愛)や美津(水野美紀)、環(英茉)たちと囲む食卓。血のつながりだけでは説明できない関係を築き、ようやく手に入れた居場所だったからこそ、それを失うことが怖かったのだろう。

これまで苦労を重ねてきた彼女にとって、さらなる幸福を望むのは分不相応だと考えるのも無理はないのかもしれない。そんな直美の背中を押したのが、りんだった。離れて暮らすことになっても家族であることに変わりはない。りんの言葉を受けた直美は、小川に会うため『田之上屋』へ向かう。

ところが、約束の時間を大幅に過ぎても小川は現れない。ようやく姿を見せた彼は、なんと骨折していた。その姿を目にした瞬間、直美から溢れたのは理屈ではなく、小川を心配する気持ちだった。

失うかもしれないと感じて初めて、自分にとってどれほど大切な人なのかに気づくことがある。直美もまた、小川の怪我を目の当たりにしたことで、自分の胸の奥にあった思いを認められたのではないだろうか。

その後、二人は『田之上屋』で結婚のお披露目会を開く。そこにはりんをはじめ、かつてともに看護婦を目指した仲間たちが再集合し、懐かしい吉江善作(原田泰造)の姿もあった。

小川と結婚したからといって、りんたちとの“家族の縁”がなくなるわけではない。むしろ直美にとって、大切な人がまた一人増えたのだ。

直美の晴れの日にいなかった寛太

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『風、薫る』第20週(C)NHK

そんな幸福な光景のなかで、かえって存在感を増した人物がいる。寛太だ。

直美との出会いはロマンス詐欺。なんともひどいものだった。それでも奇妙な腐れ縁は続き、寛太は直美の母親探しにも奔走。ときには誰より深く直美の人生に入り込み、彼女を支えてきた。しかし、結婚お披露目会に寛太の姿はなかった。

直美と寛太の関係は、恋愛という言葉だけで括るには少し違う。騙し、怒り、ぶつかり、それでも困ったときには手を貸す。お互いのきれいな部分だけを見て成立した関係ではないからこそ、二人の間には独特の親密さが生まれていた。

だからといって、小川と寛太のどちらが直美にふさわしいかという話でもないのだろう。

小川は、直美がこれからの人生を一緒に歩きたいと選んだ人。一方の寛太は、彼女がそこへたどり着くまでの人生を、思いがけない形で支えた人だ。直美が新しい家族を得た回だからこそ、血縁でも夫婦でもない寛太とのつながりもまた、本作が描いてきたもう一つの“家族のかたち”のように思えてくる。

幸福の向こうに見え始めた陰

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『風、薫る』第20週(C)NHK

第100回で直美の恋にはひとつの答えが出た。しかし、物語そのものはすでに次の局面へ向かっている。

小川と結婚した直美には、看護婦としての人生がある。『恵風看護婦会』は軌道に乗り始め、貧しい人々への無償看護にも踏み出した。しかし、善意だけですべてを救えるわけではない。生活に余裕がなければ、清潔な環境を保つことさえ難しい人がいる。看護を届けようとするほど、社会そのものが抱える貧困や格差にも向き合わざるを得なくなるだろう。

そして、りんの人生も動き始めている。島田健次郎(佐野晶哉)との思いも重なり始めた今、こちらも無事に“家族のかたち”を成すまでに至るのか。

何より気になるのは、二人が生きる時代そのものだ。これまで赤痢などの感染症と向き合ってきたりんと直美だが、その先にはさらなる社会の変化が待っている。看護婦として守りたいものが増えた二人に、時代はどんな選択を迫るのだろう。

第100回までに、直美は仕事を見つけ、居場所を見つけ、家族を見つけ、そして小川という人生をともに歩む相手を選んだ。しかし、幸せを手に入れることと、それを守りながら生きていくことは違う。

りんが直美に伝えたように、離れても家族は家族でいられるのか。形を変えていく暮らしのなかで、それでも大切な人とつながっていられるのか。『風、薫る』は、大切な人たちとどうやって生きていくかという問いとともに、静かに歩みを進め始めている。


連続テレビ小説『風、薫る』毎週月曜〜土曜あさ8時放送
NHK ONE(新NHKプラス)同時見逃し配信中・過去回はNHKオンデマンドで配信

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_

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