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42歳の私が21年後の私へ手紙を書いた理由─人生の意味と孤独、「愛」をめぐる静かな問い

  • 2026.7.28

42歳の私が21年後の私へ手紙を書いた理由─人生の意味と孤独、「愛」をめぐる静かな問い

21年後の未来の自分へ手紙を書く——。そんなユニークな試みをしたのは、88歳のニューヨークのベストセラー作家です。人生後半で見つけた幸せをつづった『老いることの驚きと幸せ これから年を重ねていくあなたへ、88歳の作家からの手紙』(アスコム刊)から、一部抜粋して、その興味深いやり取りをご紹介します。第1回は、「42歳のわたしから、63歳のわたしへ」

42歳のわたしからわたしへ

(63歳時に開封のこと)1978年12月12日
ソフィへ


美しく青く澄み渡る、温かい秋の日にこの手紙を書いている。あと2カ月で42歳。かつて21歳だったときに、21年後に開封するつもりで自分宛てに手紙を書いた。その中身はもう思い出せない。ただ、あの過去からの声を開く前に、今この手紙を書いて封をしてしまおうと思う……。

わたしは変わっただろうか? 今は結婚して子どもがいる。心はさまざまな願望で今もいっぱいだ。


さて、人生の意味についてだが、わたしにはあまりわかっていない。

かつて、人生で望んでいたのは「理解すること」だと思っていた。何もかも理解したいと思っていた。人生のすべて、1人ひとりの人間、虫や獣に至るまで、とにかく理解したかった。

理解できたと感じる瞬間があった──思わず息を呑むほどの驚きを感じながら、理解したのだ──そういうことだったのか! と……。

人生の意味を両方の手のひらで受け止めていると感じた瞬間が何度かあった。人生の核心に触れるには、心を充分に開き、知恵を働かせて分析し、洞察力を研ぎ澄ませ、自らを律し、強い憧れを胸に抱きながら手を伸ばせばよかったのだ。そうすれば、すべての核心に触れられた。それこそが「一体感(ユニティ)」だ。完全に理解するとは、一体感の中に吸い込まれ、自分と対象との区別が消え、ひとつに溶け合うことだ。理解するとは、対象と不離一体の状態へと身を浸すこと。その状態を求めて、人は理解したいと強く願うのだ。

もちろん、わたしは対象とひとつになれない恐ろしさを経験したことがある。おそらくそれは、すべての人間の心の奥底で唸り声を上げ、孤独で、人をとらえて離さない恐怖であり、人間は究極的には孤独な存在だと思い知ることである。人はその孤独のあまり、虚ろで形式的な態度の裏に隠れ、思考を停止して決まりきった行動パターンを繰り返し、自分を抑え込み、社会的な仮面をかぶるようになる。もしその仮面を剥ぎ取られたなら、裸の自分があらわになり、無防備でとても不安になる。安らぎを得るには狂気に逃れるしかない。

<中略>

人生の目的とは何か。

以前なら、わたしは若者特有の熱意をもって、人々のために尽くすことこそが人生の目的だと軽々しく答えただろう。でも今はその言葉通りには生きていない。建前としてそう言うだけだ。わたしは自分のために生きる。それも、考えうる限り最も自分勝手な形でだ……。

やりたいことがある……書きたい(わたしの唯一の才能だ)。そして、どうか神よ、強い人間でいられますように。鋭敏な目を持っていられますように……人の心に届き、人の心を震わせる言葉を見つけられる才能を授けてほしい。挑戦する勇気を、そして失敗しても再び挑む勇気を与えてほしい。

わたしは昼下がりに、CCNY(ニューヨーク市立大学シティカレッジ)の机に向かい、人と会う約束の合間にこれを書いている。この言葉をタイプしていたときに、隣の机の男性が杖を支えに立ち上がり、わたしを見て言った。「ああ、最初の一歩が一番難しいんだ」


わたしが言おうとしているのは、この「わたし」も結局あなたと変わらないということだ。わたしはあなたであり、あなたはわたしである。わたしたちは容姿や性別、社会的階級や知識、そして体制の中で発揮される才能や知性、表現力の違いによって隔てられている。孤立しながらも、わたしたちは互いに手を伸ばし、全人類がひとつの大きな声で歌う──愛している、と。そして時には叫び、こう訴える──あなたの声が聞こえない、愛していると言って、怖い、あなたはわたしを愛しているの?

これが人類の持つ2面性であり、肯定(イエス)と否定(ノー)、恐怖と希望、楽観と悲観、充実と虚無、寛容と排他の狭間で均衡を保っている。愛──思うにそれは、最も寛大な言葉であり、最初の言葉であり、ビッグバンの始まりに発せられた言葉なのだ。

愛をこめて
ソフィ

著者紹介

ソフィ・バーナム

1936年生まれ。アメリカの作家、劇作家、エッセイスト、詩人。著書16冊を刊行している作家であり、そのうち3冊は「ニューヨーク・タイムズ紙」のベストセラーとなっている。作品は26言語に翻訳されており、ノンフィクション、小説、短編、詩、戯曲、ドキュメンタリー映画、児童文学、ラジオドラマなど、多岐にわたるジャンルで執筆活動を行っている。世界各国で配信された記事やエッセイも数百本にのぼる。日本で翻訳されている著書に『天使の本』(ジャパン・タイムズ)がある。

※この記事は『老いることの驚きと幸せ これから年を重ねていくあなたへ、88歳の作家からの手紙』ソフィ・バーナム著・柴田幸裕訳(アスコム刊)をウェブ記事用に再構成したものです。

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