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「使いたいなら、貸してだよ」黙って息子のおもちゃを持って行った子供。だが、親の一言に思わず絶句

  • 2026.7.30

砂場に伸びてきた手

土曜の午前でした。

近所の公園の砂場で、息子と砂遊び用の型抜きを並べていました。

星や魚の形が抜ける、手のひらに乗る小さな道具です。

同じくらいの年に見える子が、いつのまにか隣にしゃがんでいました。息子の手元をじっと見ています。そのうちに、砂の上に置いてあった星の型へ、すっと手が伸びました。

まだ言葉が出ない年頃なのかもしれません。なるべくやわらかい声で話しかけました。

「一緒に遊びたいのかな」

返事はありません。

目も合いませんでした。息子は取られたことに気づかないまま、別の型に砂を詰めています。

「使いたいなら、貸してだよ」

それでも同じでした。

その子は星の型を握って、砂をすくっては落としています。そろそろ返してもらおうか。迷っているあいだに、その子は立ち上がって走り出しました。

木陰のベンチまで

このまま持っていかれては困ります。砂を払う間もなく、私も慌てて追いかけました。

小さい子がたくさん遊んでいる公園です。走った先に、木陰の長いベンチがありました。

その子はベンチに座った女性の膝に、星の型を掲げて見せていました。

女性は缶を片手に持ったまま、こちらへ顔を向けます。私に気づいたようでした。

「すいません、子供がもらっちゃいましたー」

語尾がのんびりと伸びました。その人は座ったままです。

砂場からベンチまでは、大人の足でも十数歩あります。

砂を払って持ち帰った

言うか、黙って引き返すか。

砂場に残してきた息子の顔が浮かんで、私は口を開きました。

「それでも勝手に取られては困ります!」

缶を持つ手が止まりました。何か言いかけて、その人は途中で飲み込みます。

「返してもらいに来ました」

子どもの手から、星の型をそっと引き取りました。女性は小さく息を吐いて、目を逸らします。

案の定、その子は大きな声で泣き出しました。悪いのはこの子ではありません。

目の前にあったものへ手を伸ばした、それだけです。

(ごめんね)

気まずさを抱えたまま、砂場へ戻りました。泣き声はしばらく続いています。

少し歩いてから振り返ると、女性は缶を足元に置いて、泣いている子のほうへ手を伸ばしていました。

息子は何も知らないまま、砂の山に星を押しつけています。私はその横にしゃがんで、崩れた縁をもう一度固めました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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