1. トップ
  2. 住まい
  3. タワマン38階で「まだ買って数年なのに」真夏に冷房停止!?実は故障ではなかった“意外な理由”【一級建築士は見た】

タワマン38階で「まだ買って数年なのに」真夏に冷房停止!?実は故障ではなかった“意外な理由”【一級建築士は見た】

  • 2026.8.19
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

「真夏の午後、突然エアコンから冷たい風が出なくなったんです。まだ買って数年なのに、故障したのかと思いました」

そう話すのは、昨年、都心の大規模タワーマンション(築2年・3LDK・85㎡、約1億1,000万円)の38階に住まいを買ったAさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

この夏が、入居して初めての真夏でした。入居のとき、管理会社から「バルコニーは共用部分の専用使用で、避難経路にもなるため、物を置きすぎないでください」という説明は受けていました。ただ、その注意が「エアコンの効き」と関わる話だとは思っておらず、目隠しを兼ねたプランターの列を、室外機の吹き出し口の50cm先に並べていたのです。

エアコンは、室内の熱をバルコニーに「捨てて」いる

エアコンは室内機が部屋の空気から熱を取り除き、その熱を冷媒(熱を運ぶ物質)が室外機へ運んで、屋外に放出する仕組みです。冷房の実力は、室外機がどれだけ熱を捨てられるかで決まります。室外機周辺の温度が高くなりすぎると冷却効率が下がり、効きが弱くなるとされています。

パナソニックの試験でも、同じ設定温度で運転した場合、外気温30度のときの消費電力は、35度時の約半分(約52%)になるというデータがあります。

タワマンのバルコニーは、熱がこもりやすい

タワマンのバルコニーは、コンクリートの腰壁と床が日射の熱をため、風の抜け方も限られる空間です。そこへAさん宅では、プランターの列が吹き出し口の正面をふさぎ、猛暑日の午後は直射と照り返しが重なりました。吐き出した熱がこもり、その熱をまた吸い込む悪循環。排熱が追いつかない状態が続くと、機種によっては保護のために運転を止めることもあります。Aさん宅のエアコンは故障ではなく、働けない環境に置かれていたのでした。

Aさん夫婦はどう対応したのか

Aさん夫婦は、直射日光を防ぐカバーの設置も考えたそうです。しかし前面や側面まで覆うタイプは、空気の通り道を狭め、かえって熱をこもらせる可能性があります。日よけを設ける場合も、吹き出し口や吸い込み口をふさがず風通しを確保することが大切です。

Aさん夫婦は、まずプランターの列を吹き出し口の前から壁際へ移し、室外機のまわりに置いていた物を片付けました。これにより、管理会社から注意されていた「避難経路の確保」という安全上のルールもしっかり守れるようになりました。

あわせて、日よけなどを設ける場合の決まりを管理会社にも確認したといいます。「室外機の前を片付けただけで、うそみたいに効きが戻りました」とAさんは話します。

室外機の「風の通り道」まで含めて住まい

築2年の設備と38階の眺望。窓を開ければ高層階ならではの風も心地よい住まいです。一方で、バルコニーの床まわりは別の顔を持ちます。冷房の実力は、室外機まわり1mの環境で決まります。以下を確かめてみてください。

・室外機の吹き出し口の前に物を置かない――プランターや収納は横へ(避難経路の確保にもなります)
・日よけは吹き出し口と吸い込み口をふさがない専用品を(前面まで覆うと逆効果になることも)
・猛暑日に効きが急に落ちたら、故障を疑う前に室外機まわりの熱だまりを確認
・バルコニーは共用部分の専用使用――日よけや設置物は管理規約の確認を

熱の出口さえ空けておけば、猛暑日のリビングは、38階でも変わらず涼しい場所であり続けます。

参考:
夏場の冷房の「効き」を左右するエアコンの心臓「室外機」「室外機」の周辺環境を見直して省エネで快適な夏を過ごそう(ダイキン工業)
「室外機カバー」は効果あり? エアコンの室外機を猛暑から守る日除けのポイント(パナソニック)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ