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「まだ使える」が命取りに…エアクリーナー数千円の交換を後回し→20代男性を襲った“思わぬ高額請求”

  • 2026.8.23
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

「エアクリーナーは多少汚れていても走れるから大丈夫」

そう考えて、交換を後回しにしていませんか?以前、筆者が勤務していた整備工場に、20代男性のお客様が車の点検に来られました。今回は、そのとき実際に確認した車両トラブルをもとに、消耗品を放置するリスクについて紹介します。

「最近、加速しない」原因を調べてみると

そのお客様からは、

「最近、アクセルを踏んでも前より加速しない気がするんです。それに、燃費も悪くなりました」

との相談がありました。

さっそく車両を点検すると、エアクリーナーボックスの中に入っていたフィルターに目が留まりました。取り外してみると、ホコリや砂、小さな虫、枯れ葉などがびっしり。吸気面のかなりの部分がふさがっている状態でした。整備記録を確認すると、なんとエアクリーナーは約10万kmも交換されていません。さらにスパークプラグも交換時期を大きく超えており、診断機には「失火」の履歴が残っていました。エンジン警告灯も点灯しています。

「ここまで汚れていたんですか」

お客様もフィルターを見て驚いていました。エアクリーナーは、単に空気をきれいにするだけではありません。エンジンに必要な空気をスムーズに送り込む重要な部品です。目詰まりが進めば吸入空気量が不足し、エンジンが本来の性能を発揮しにくくなります。燃料噴射量などはエンジンコンピューターによって補正されますが、極端な目詰まりや他の不調が重なると、加速不良や燃費悪化につながることがあります。

エアクリーナーだけじゃなかった。失火が招いた高温トラブル

今回、より問題だったのは、エアクリーナーの目詰まりだけではありません。スパークプラグの摩耗や点火系の性能低下も重なり、エンジンで失火が発生していました。

失火とは、燃料と空気の混合気が正常に燃焼しない状態です。燃え残った混合気が排気側へ流れ込むと、触媒内部で燃焼してしまい、触媒が異常な高温になる場合があります。最近の車には、失火を検知した際に触媒などを保護するため、車種によっては該当気筒の燃料噴射を停止するフェイルセーフ制御が備わっています。ただし、こうした保護制御があるからといって、警告灯が点灯した状態で走り続けてよいわけではありません。失火の程度や原因によっては、触媒や点火系などに負担がかかる可能性があります。

今回も点検の結果、イグニッションコイルの一部に性能低下が確認されました。そして、警告灯が点灯した後も走行を続けたことで、最終的に触媒内部のセラミックまで損傷。排気浄化性能を維持できない状態になっていました。

数千円の交換を後回しにした結果、修理費は約15万円に

最終的に必要となったのは、エアクリーナー、スパークプラグ、イグニッションコイル、そして触媒の交換でした。

「エアクリーナーくらいなら、まだ使えると思っていました」

お客様はそう話していましたが、結果として修理費用は約15万円にまで膨らみました。もちろん、今回の触媒損傷がエアクリーナーの目詰まりだけで起きたと断定することはできません。失火や点火系の不具合など、複数の要因が重なったことが大きなポイントです。だからこそ、日頃のメンテナンスが重要になります。エアクリーナーはメーカー指定の交換時期を基本に、点検時には汚れ具合も確認してもらいましょう。砂ぼこりの多い場所や未舗装路を走る機会が多い車は、通常より早く汚れる場合もあります。

また、「加速が鈍い」「燃費が急に悪くなった」「エンジンがブルブルする」「エンジン警告灯が点灯した」といった症状が出たら、エアクリーナーだけの問題と決めつけず、吸気系・点火系・燃料系などを含めて早めに点検することが大切です。特にエンジン警告灯が点灯・点滅し、明らかな失火症状がある場合は、「走れるから大丈夫」と考えないこと。車を安全な場所に止め、必要に応じて整備工場などへ相談してください。

数千円程度で済むこともある消耗品の交換を「まだ使える」と先延ばしにした結果、複数の部品に負担が及べば、修理費用が大きく膨らむことがあります。「壊れてから直す」のではなく、「壊れる前に交換する」。

エアクリーナーのような目立たない部品こそ、定期的なメンテナンスを心がけたいものです。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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