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「足の親指が少し痛む…」“痛み止め”を飲んで放置→数年後、胸に激痛が走り病院へ…50代会社員に告げられた“恐ろしい病名”

  • 2026.8.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「一日の終わりのビールは最高だ。足の親指が少し痛むが、いつも通り数日で治るだろう」

50代の会社員Nさんは、痛風の痛みを薬で抑えて晩酌を続けていました。しかし数年後、激しい胸の痛みに襲われ急性心筋梗塞で搬送されることに。一命は取り留めたものの、再発の恐怖を抱え、大好きな飲み会も楽しめなくなってしまいました。

皆様、こんにちは。周術期の全身管理をおこなう麻酔科専門医の松岡です。今回は単なる足の痛みと思われがちな痛風が、実は全身の血管を傷つけ、命に関わる心筋梗塞を引き起こすメカニズムについて解説します。

痛風発作は「全身の血管がサビつく」警報音

痛風は足が痛いだけの病気と軽く考えられていますが、実はそうではありません。

痛風発作は全身の血管が悲鳴を上げているサインなのです。尿酸の結晶が攻撃するのは関節だけではありません。

血液中に溶けきれなくなった尿酸が、血管そのものを内側から破壊していくメカニズムは次の通りです。

【高尿酸血症が心筋梗塞を招くフロー】

  • 尿酸の結晶化:尿酸値が高い状態が続き、血液中に溶け残った尿酸が細かいガラス片のような結晶に変わる
  • 血管内皮の障害:この結晶や過剰な酸化ストレスが、全身の血管の内壁(内皮細胞)に強い炎症を起こし傷つけ続ける
  • 動脈硬化の進行:傷口にコレステロールが入り込んでコブを作り、血管が硬く狭くなる動脈硬化が進行する
  • 血管の閉塞:狭くなった心臓の血管(冠動脈)に血栓が詰まり、心筋梗塞を引き起こす

「疲れた体へのご褒美」という自然な心理と危険な罠

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

毎日遅くまで働いたのだから冷えたビールをご褒美にしたい。足が痛くても数日我慢すれば治るから病院には行かない。忙しい日々の中で楽しみを見出し、痛みが落ち着けば病気も落ち着いているのだろうと考える。これは痛風ではよくあることです。

なお、「ビールをウイスキーやハイボール、プリン体オフ商品に変えたから大丈夫」と考える方も多いですが、これは大きな落とし穴です。アルコールそのものが体内で尿酸の作られる量を増やし、排泄を妨げるため、お酒の種類に関わらずアルコール自体の摂取量を抑える必要があります。

ただし、痛みが引いても高尿酸血症という根本の原因は消えていません。足の激痛は関節にガラス片のように尿酸の結晶が生じることで起きます。痛みが去った後も、血液中の結晶は消えることなく全身を巡り、自覚症状のないまま心臓や脳の血管を傷つけ続けています。

初夏は汗で水分が失われたところに利尿作用のあるお酒を飲むため、血液がドロドロになり尿酸がさらに結晶化しやすくなります。尿酸値が高い状態は、高血圧や脂質異常症、肥満などの動脈硬化リスク因子を合併しやすい特徴を持ち合わせています。これらが複合的に絡み合って心臓の血管を詰まらせます。

痛風発作をただの足の痛みと仲間内の笑い話で終わらせず、全身の血管からのSOSだとぜひ受け止め直してください。

重症化する前に、確認すべき3つのサイン

痛みが引いたから治ったと誤認して血管を限界まで痛めつけないよう、体が発する危険なサインを見逃さない配慮が必要です。

1.足の親指の付け根が赤く腫れ、激しい痛みがあった

痛風の最も典型的な初期発作です。痛みが消えても、体内で血管の破壊は確実に続いている明確なサインです。痛風発作の最中や直後に、あわてて自己判断で尿酸値を急激に下げる薬を飲み始めると、関節の結晶が崩れて発作がかえって悪化・長引くことがあります。発作中はまず消炎鎮痛薬で炎症を抑え、落ち着いてから医師の指導のもとで尿酸コントロールを行うのが鉄則です。

2.健康診断で尿酸値が7.0mg/dLを超えている

自覚症状が全くなくても、すでに血液中に尿酸が溶けきれず、医学的に高尿酸血症と診断される状態です。

3.喉が渇いた時の水分補給が、カフェインを含む飲料(お茶やコーヒー)、お酒中心である

茶などのカフェインを含む飲料やお酒には利尿作用があります。結果的にかえって体内の水分を奪い、血中の尿酸を濃縮させてしまう危険な習慣になりえます。喉が渇いたときは、利尿作用の少ない水や麦茶などをベースにこまめな水分補給を行いましょう。なお、コーヒーに関しては利尿作用がある一方で、近年の研究では尿酸値を下げる傾向も報告されています。ただし、水分補給の基本は水や麦茶を中心に据えるのが最も安全です。

足の痛みで終わらせない!心臓を守るための第一歩

痛風は単なる足の病気ではなく、高尿酸血症によって全身の血管が傷つき、心筋梗塞など命に関わる疾患を引き起こす危険なSOSサインです。

痛みが引いても体内の尿酸結晶は消えず、自覚症状がないまま血管を傷つけ続けます。特に汗をかきやすくアルコールを飲む機会が増える季節は、水分不足から血液が濃縮されやすいため注意が必要です。

「痛みがおさまったから大丈夫」と放置せず、健康診断で尿酸値の高さを指摘された際や発作を経験した場合は、早めに内科や循環器内科を受診しましょう。お酒を飲む前後や就寝前にコップ1杯の水を飲む習慣から始め、大切な心臓と血管を守っていきましょう。


監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など

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