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「早まったことをした…」父の死亡退職金“1億円”を受け取った50代娘→後日、税理士に告げられた“意外な事実”に青ざめたワケ

  • 2026.9.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは!税理士・元国税調査官の神崎遊です。

一代で会社を成長させた敏腕社長から、引き継ぐ2代目は大変だろうと思います。

Oさんが引き継いだのは、会社だけではなく、1億円の退職金でした。しかし、会社のために退職金を返還したことで、新たな悩みを生みました。

今回の事例では、死亡退職金の返還と相続税の考え方について詳しく解説します。

死亡退職金を返還…「会社を守りたいから」

会社経営者の父が急死。2代目として経営を引き継いだのは、50代娘のOさん。

会社は、大工をしていた父が、仲間の職人を集めたことから始まりました。創業から20年で年商5億円、従業員は20人を抱えるまでに成長しました。

しかし、2代目のOさんになってからは3か月もたたないうちに、売上が急減。資金繰りも悪化してしまいました。

「このままでは、父が作った会社が危ない!」

そこで、家族とも相談して、死亡退職金として受け取っていた1億円を返還することに決めました。

しかし、相続税の手続きを依頼していた税理士に、退職金を返還したことを伝えると意外な事実を伝えられました。

返還しても死亡退職金は相続財産のまま?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「返還しても、死亡退職金に対する相続税はなくなりません」

税法上、亡くなった方の死後3年以内に確定した死亡退職金は、相続または遺贈で取得したものとみなされます。今回のように、株主総会などの正式な決議に基づいて支給が確定した死亡退職金は、その後に遺族が返還しても、相続税が課税されることに変わりはありません。 

「手元に現金が残らないのに、相続税は払わないといけないってこと?」

Oさんは青ざめたそうです。早まったことをしたかもしれないと…。

基礎控除と退職金非課税枠の存在

相続税の計算にあたっては、相続した遺産総額にそのまま税率をかけるわけではありません。今回の事例では、基礎控除と退職金の非課税枠を考慮することができます。

基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円で求めます。

Oさんのケースでは、法定相続人が6人なので次の計算をします。

3,000万円+6人×600万円=6,600万円

次に、退職金はそのまま課税される財産にはならず、相続人が受け取った死亡退職金は、法定相続人×500万円までは非課税です。

6人×500万円=3,000万円

つまり、死亡退職金1億円から3,000万円を引いた7,000万円が相続税の対象となる財産です。

仮に、死亡退職金1億円以外には遺産がなかったとすると、課税財産は次の計算式で求めることができます。

1億円-3,000万円(死亡退職金の非課税枠)=7,000万円

さらに、この7,000万円から基礎控除6,600万円を差し引きます。
7,000万円-6,600万円(基礎控除)=400万円

その結果、課税遺産総額は400万円となります。

相続は税金を含めトータルで考える

Oさんの場合は、死亡退職金以外にも財産があったため、思った以上の相続税を支払うことになりました。しかし、会社の事業資金として1億円が残ったことで、少しずつ経営を回復させることができました。

「従業員や取引先の信頼を得るのには時間がかかります。それまでの運転資金を残せたのはよかったです」と、退職金を返還したことは間違いではなかったと後になって気づいたようです。

相続が発生すると、「できれば税金を少なくしたい」と思うものです。けれど、税金だけを判断基準にしない方がよいでしょう。

相続では、税金の負担額だけではなく、広い視点を持って手続きを進めることがポイントです。


執筆:税理士・元国税調査官 神崎遊

国税組織で12年間勤務し、法人税調査を中心に200件以上の税務調査に従事。現在は「ゆとり税務会計」を運営し、中小企業・個人事業主の税務支援を行っている。

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