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“月15万の年金受給”を始めた65歳女性→「繰り下げてよかった」友人の話を聞いて後悔するが…後日、銀行で知った“意外な事実”

  • 2026.8.17
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

今回ご紹介するのは、年金の受け取り方をめぐって「早まったかもしれない」と感じた60代女性Aさんの体験談です。友人の一言をきっかけに後悔しかけたものの、調べてみると答えは人それぞれだと気づくまでのお話です。

「友人は、繰り下げてよかったと言うんです」

Aさんは60代。老後の資産について相談するため、銀行の窓口を訪れました。ひととおり話が進んだあと、Aさんはふと、こんな後悔を口にしました。

「私は65歳から、年金を受け取り始めたんです。月に15万円ほど。ごく普通に、その年齢になったから受け取る、という感じで。でも先日、同い年の友人が『年金を繰り下げて、額を増やしてもらうことにした』と話していて。

繰り下げると増えるなんて、よく知らなかったんです。私も、そうすればよかったのかなと」友人の話を聞いて以来、「自分は早まったのではないか」という思いが、Aさんの頭を離れなくなっていたそうです。

繰り下げると増えるが、それだけではない

年金の繰下げは、受け取りを65歳より遅らせることで、年金額を増やせる仕組みです。1か月遅らせるごとに0.7%ずつ増え、最大で75歳まで遅らせると84%増える計算になります。しかも、増えた額はその後ずっと続きます。

これだけを聞くと、繰り下げたほうが得のように思えます。ただ、話はそう単純ではありません。

まず、増えるのは年金の「額面」です。額面が増えると、その分、税金や社会保険料の負担も上がります。手元に残るお金は、額面の増えかたほどには増えないのが実際のところです。

さらに、注意したい点があります。配偶者がいる場合などに受け取れる「加給年金」や「振替加算」といった上乗せは、繰下げによる増額の対象になりません。しかも、年金を繰り下げて待っている間は、これらの上乗せそのものを受け取れないのです。人によっては、この受け取れなかった分が、意外と大きくなることもあります。

そしてもうひとつ。繰下げは、長く受け取るほど得になる一方で、受け取り始めてから早くに亡くなれば、総額では受け取れる額が少なくなることもあります。制度としては、平均的な寿命まで生きた場合に、早く受け取っても遅く受け取っても総額がおおむね釣り合うように作られています。

つまり、どちらが得かは、その人がどれだけ長く受け取るか、他にどんな収入や上乗せがあるかによって変わってくるのです。

「答えは、人それぞれだったんですね」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

Aさんの友人が「繰り下げてよかった」と感じているのは、その友人の状況にとって、それが合っていたからかもしれません。Aさんにとっても同じように得だとは、必ずしも言えないのです。

たとえば、加給年金の対象になる配偶者がいる場合は、繰下げの間に受け取れない分を考えると、必ずしも繰り下げが有利とは限りません。逆に、他に収入があってしばらく年金を使わずにいられる人なら、繰り下げて増やす選択が生きることもあります。

Aさんは、話を聞いて表情がやわらいだ様子でした。

「繰り下げれば、ただ得をすると思い込んでいました。でも、私にとってどうだったかは、調べてみないと分からないんですね」

繰下げによって年金額がどれくらい増えるかは、年金事務所で試算してもらえます。ただし、それに伴って税金や社会保険料がどう変わるかは、また別です。税金は税務署や税理士、社会保険料は市区町村の窓口が相談先になります。ひとつの窓口ですべてが分かるわけではないため、順に確認していくことが大切です。

「まずは年金事務所で、自分の場合はどうなのかを聞いてみます。そのうえで、税金のことも確かめてみます」とAさんは前向きに話してくれました。

年金の繰下げを考えるときに知っておきたいこと


・年金の繰下げは、受け取りを65歳より遅らせることで年金額を増やせる仕組み(1か月あたり0.7%、最大84%増)で、増えた額は生涯続く
・増えるのは額面で、額面が増えると税金や社会保険料の負担も上がるため、手取りは額面ほど増えない
・配偶者がいる場合などの「加給年金」「振替加算」は繰下げによる増額の対象外
・さらに、繰り下げて待っている間は、加給年金や振替加算そのものを受け取れない
・繰下げは長く受け取るほど得になる一方、早くに亡くなると総額では少なくなることもある
・どちらが得かは、寿命や他の収入、上乗せの有無によって変わり、一概にはいえない
・繰下げで年金額がどう増えるかは年金事務所で試算してもらえる
・税金は税務署・税理士、社会保険料は市区町村の窓口と、相談先が分かれることも知っておく

「繰り下げれば得」と思い込む前に、自分の場合はどうなるのかを確かめることが大切です。年金の受け取り方でお悩みの方は、まず年金事務所などで相談してみてください。


執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

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