1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 会社を退職後、健康保険を「任意継続」した60代男性→「月2万円くらいだろう」と思いきや…届いた案内を見て“絶句したワケ”

会社を退職後、健康保険を「任意継続」した60代男性→「月2万円くらいだろう」と思いきや…届いた案内を見て“絶句したワケ”

  • 2026.8.17
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

定年退職を迎えると、退職金や年金などの「これから入ってくるお金」に目が向きがちです。一方で、見落としやすいのが退職後に毎月出ていくお金の存在です。その代表例が「健康保険料」の負担です。

「会社員のときは月2万円くらいだったから、退職後も同じくらいだろう」

そう考えていた60歳男性は、退職後に届いた案内を見て言葉を失いました。在職中は月1万8,720円だった本人負担が、退職後に保険を継続(任意継続)したところ、月3万7,440円に跳ね上がっていたのです。

年間で見ると約45万円の大きな支出になります。なぜ、退職しただけでこれほど負担が変わってしまうのでしょうか。

「月2万円なら大丈夫」のはずが…届いた通知は「3万7,440円」

長年勤めた会社を定年退職した60歳のSさん(東京都住まい)。退職時の標準報酬月額(保険料計算の基準となる額)は32万円でした。

2026年4月分の保険料率などをもとに計算すると、在職中にSさん自身が給与から天引きされて負担していた健康保険料・介護保険料などの合計は月1万8,720円でした。

退職後すぐに再就職する予定がなかったSさんは、これまで入っていた会社の健康保険をそのまま継続する「任意継続」制度を利用することにしました。

「これまでと同じ健康保険を続けるなら、月2万円くらい見ておけば十分だろう」

退職後の生活費もその想定で準備していたSさんですが、届いた案内に書かれていた金額は月3万7,440円。ほぼ2倍の金額でした。

「何かの間違いではないか。在職中の分まで二重に請求されているのでは…?」と不安になったSさんはファイナンシャルプランナー(FP)へ相談に訪れました。

負担が「2倍」になったカラクリ

FPから告げられたのは、至ってシンプルな仕組みでした。

「会社員のときは、保険料の半分を会社が負担していました。退職すると、その会社負担がなくなるのです」

会社員として健康保険に加入している間は、保険料の原則半分を会社が負担(労使折半)しています。つまり、Sさんが給与明細で見ていた1万8,720円は保険料の全額ではなく、会社が同額を裏で支払っていたのです。

退職して任意継続を選択すると、この会社負担分もすべて自分一人で支払うことになります。

※同じ月額が12カ月続いた場合の単純計算です。

「これまで月2万円だったから」という思い込みで計画を立てていると、年間で20万円以上の想定外の支出オーバーにつながってしまうのです。

「全員が必ず2倍」になるわけではない

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

この話を聞くと、「退職したら誰でも健康保険料が2倍になるの?」と不安になるかもしれません。しかし、実際には必ずしも2倍になるとは限りません。

1. 任意継続には「標準報酬月額の上限」がある

健康保険の任意継続では、保険料計算の基準となる「標準報酬月額」に上限(原則32万円など)が設けられています。そのため、現役時代に高収入で標準報酬月額が40万円や50万円だった人でも、任意継続の上限枠が適用され、現役時代の単純な2倍より安く抑えられるケースがあります。

2. 地域や条件によって異なる

健康保険料率は、お住まいの都道府県や加入する保険組合によって異なります。また、40歳以上65歳未満では介護保険料が加算され、子ども・子育て支援金なども含まれます。

退職前からの早めの準備がカギ

退職後の生活設計では、「毎月の手出し」だけでなく「年間でいくら払うことになるか」まで事前に試算しておくことが重要です。

また、任意継続の手続きには「退職(資格喪失)から原則20日以内」という厳格な申込期限があります。

退職してから慌てて考え始めると、国民健康保険との比較をする時間が足りなくなってしまう恐れがあります。退職が決まったら、以下の3パターンを早めに試算・比較しておきましょう。

  1. 任意継続にした場合の金額
  2. 国民健康保険にした場合の金額
  3. 家族の扶養に入れるかどうか

給与明細に書かれた金額だけを鵜呑みにせず、「会社負担がなくなった後に自分が支払う実際の数字」を事前に把握しておくことが、退職後の資金計画で失敗しないための大きなポイントです。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ