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「あの、はじめまして」初めて会う親戚に緊張した私。だが、義父のとぼけた一言に救われた瞬間

  • 2026.7.26
「あの、はじめまして」初めて会う親戚に緊張した私。だが、義父のとぼけた一言に救われた瞬間

15人が並んだ座敷

結婚して初めてのお正月、夫の親族の集まりに呼んでいただきました。襖を開けると、座敷には大人と子どもを合わせて15人が座っています。

「よく来てくれたね、こっちに座って」

案内されたのは、床の間にいちばん近い席でした。膝をそろえた途端、湯呑みの数だけ視線がこちらを向きます。

「せっかくだから、順番にご挨拶をしましょうか」

義母の声で、右端の伯父から自己紹介が始まりました。名前と、住んでいる町と、去年あった出来事をひとこと。

笑い声が起きて、また次の人へ移っていきます。

「うちの孫が、この春から中学でね」

「早いもんだ、こないだまで抱っこしてたのに」

順番は、思っていたよりずっと早く回ってきました。

言葉が飛んでいった

前の晩に、台所で何度も声に出して練習した文章がありました。ところが立ち上がった途端、覚えたはずの順番がどこかへ消えてしまいます。

膝の上で、指先だけが冷たくなっていました。

「あの、はじめまして。…えっと」

座敷が静かになります。柱時計の音まで聞こえました。

「ゆっくりでいいのよ」

義母の隣で、義父が湯呑みを持ったまま小さくうなずきます。私はもう一度、息を吸い直しました。

「皆さまに温かく迎えていただいて感謝しています」

言い終えた瞬間、頭の中が真っ白になりました。用意していた続きは、ひとことも出てきません。気の利いたことを足すべきだと分かっているのに、口が動きませんでした。

義父が湯呑みを置いて

その静けさに、義父の声がかぶさりました。

「お菓子とか用意しておきました」

湯呑みを置いて、まじめな顔のまま義父は続けます。

「今朝からお茶も入れてありますから、そこは間違いなく暖かいですよ」

一拍おいて、座敷が笑いに包まれました。

「そっちの温かいじゃないでしょう」

「真顔で言うから、余計におかしいのよ」

伯母が手を叩いて笑い、意味の分からない子どもたちまで釣られて笑い出します。義父ひとりが、不思議そうに首をかしげていました。

「間違ったことは言っていませんよ」

それでまた笑いが起きて、私の隣に座布団が足されました。あちこちから声がかかります。

「お雑煮、食べられる?」

「はい、いただきます」

帰り際、玄関まで見送りに出た義父が、ストーブのつまみを回しながら言いました。

「また来なさい。次も暖めておきますから」

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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