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人気スタイリスト 木津明子が「子ども食堂」を運営する理由とは? 循環していく社会貢献の輪 vol.1

  • 2026.7.25
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ファッションには人と人をつなぎ、新たなコミュニティを生み出す力がある。その力を生かし、環境保全や人権保護、社会福祉など、さまざまな社会課題に向き合う3名を取材。活動のきっかけから、その思いを持続可能な支援へとつないできた歩み、そして根底にある信念をひもとく。第1回は、スタイリストとして活動しながら「こども食堂レインボー」を運営する木津明子さん。

シングルマザーになったことがきっかけで知った支援の現実

ファッションスタイリストとして活躍する木津明子さんは、2021年8月に横浜市磯子区で一般社団法人「こども食堂レインボー」を立ち上げた。月に2回開かれる子ども食堂には、子どもから大人までが団地のラウンジに集い、栄養満点の食事を囲みながら世代を超えた交流を育んでいる。立ち上げから5年、今では地域にとってかけがえのない居場所のひとつになった。この活動の原点となったのは、シングルマザーとなり、現在の支援制度の仕組みだけでは届かない現実があることを知ったのがきっかけだった。区役所で説明を受けた帰り道、「一人ひとりのお母さんが不安に思うこと、それぞれの子どもたちの未来や食事を考えたい」——。その思いが、「こども食堂レインボー」を立ち上げる大きな一歩となった。

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横浜市磯子区は木津さんが生まれ育った街である。団地が多く、さまざまな世帯が暮らす地域だからこそ「こども食堂レインボー」は、誰もが気軽に立ち寄れるオープンな場所でありたいと木津さんは言う。「最初はシングルマザーや困っている人のための場所を、と考えていました。でもそうすると、どうしても間口が狭まってしまう。またお金があっても親と過ごす時間が少ない子どももいるなど、それぞれに事情を抱えた子どもたちがいます。だからこそ、誰でも来られる明るく開かれた場所にしたいと思いました。『今週、子ども食堂行く?』と子どもたちが自然に話せるような場所になればいいなと思ったんです」

また、子どもだけでなく子育てに向き合う親たちにも目を向けている。「子どもが主役ではありますが、育児に関わる人たちは仕事をしている、していないに関わらず、みんな日々の子育てに奮闘しています。不安なことや大変なことを共有しながら羽を休め、おいしいご飯を囲んで、みんなで子育てについて話せる場ができたらいいなと。親が笑顔で帰っていくことも、この子ども食堂の大切な役割だと思っています」

子ども食堂から生まれる、地域のつながり

「こども食堂レインボー」は月に2回開催され、大人は500円、子どもは無料で食事を提供している。献立は一汁四菜を基本とし、野菜をふんだんに使用した栄養満点のメニューだ。ひな祭りにはちらし寿司、蕎麦をアレンジしたまぜそば、具だくさんのパスタなど季節感を取り入れながら、子どもたちを飽きさせない工夫がなされている。基本的には昼・夜それぞれ30食を用意するが、多い日には50〜60食を提供することも。

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使用する野菜は、農家やファッションの現場を通じて出会った人たちから提供されることも多い。無農薬や有機野菜にこだわる生産者やブランドなど、活動に共感した人たちが食材を届け、子ども食堂を支えている。「普段は『早く食べなさい!』と言われている子も、みんなで食べると自然と野菜も食べるんですよ。子どもだけでなく、地域のみんなで子育てをしていく。そんなつながりが広がっていくことも、この子ども食堂のいいところですね」

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また、BASEや銀行振込を通じて支援金を募り、寄付をした人の名前(匿名を除く)を子どもたちの食事のための無料チケットとして掲示。「無料で食べられる」ではなく、誰かが自分たちのために食事を届けてくれていることを知り「ありがとう」の気持ちが生まれる。そんなあたたかな仕組みが子どもたちの心にも残る。

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ファッションが育む、子どもたちの自信と可能性

ファッションには、人の心を前向きにする力がある。木津さんはファッションの現場で出会ったクリエイターたちともタッグを組み、子ども食堂を起点にあらゆるイベントを行っている。ヘアメイクアップアーティストの北一騎による簡単ヘアアレンジや、フォトグラファーによる家族写真の撮影など、プロのクリエイティビティを実際に体感できる貴重な機会だ。そうした出会いは、子どもたちにとっての自信と将来の可能性を広げるきっかけになっていると木津さんは話す。

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「スタッフにもPRや編集、ライターなど、さまざまな職業の人がいます。いろいろな人と触れ合うことで、『この仕事っておもしろそう』『この人みたいになりたい』と思うかもしれない。出会った人がどんな仕事をしているのかを知ることが、子どもたちの道しるべになってくれたらいいなと思っています。

私はスタイリストなので、支援でいただいた洋服をスタイリングしてあげると、それまで幼いと思っていた子たちが少しお兄さん、お姉さんになったような表情を見せるんです。ファッションは洋服だけでなく、人とのコミュニケーションなんだなと再認識しました。人と触れ合いながら『素敵!』『かっこいいね』と言ってもらうことで自信が生まれ、子どもたちは新しい自分を見つけて、成長していくんだと思います」

支え合いを未来へつなぐ循環

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これから実現したいことについて尋ねると、木津さんは「循環すること」の大切さを語った。その考えから構想しているのが、100%ボタニカルダイでエプロンやバッグを製作するブランド、レフツ(Lefts,)とのコラボレーションエプロンの販売だ。「意味のないものは売りたくない」という思いから、環境に配慮したものづくりを行うブランドの商品を選び、その売り上げを子ども食堂の活動へとつなげている。料理をする時間が少し楽しくなり、その一枚が支援にもつながる仕組みだ。

子ども食堂を長く続けていくためには、お金の循環も欠かせないと話す。スタッフにはボランティアとしてではなく、きちんと対価を支払うことを大切にしている。それは活動を持続させるためだけでなく、働く女性の自立にもつながると考えているからだ。「手伝いに来てくれる人は善意で来てくれています。でもその善意をすり減らしてしまってはいけないと思うんです。私自身がフリーランスだからこそ、人の時間にはきちんとお金を払うべきだと思っています。善意だけに頼っていては活動は続きません。だからシフトも組んでいますし、それぞれに責任感も生まれる。みんなそれぞれの力を発揮してくれて、本当にいいチームになっています」

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こうした循環が少しずつ実を結び、木津さんが何よりの喜びだと話すのは、やはり子どもたちの成長だ。「人見知りだった子がたくさん話してくれるようになったり、『手伝いたい』と言ってくれたり、中学生になっても子ども食堂にご飯を食べに来てくれたり。イベントで私たちが慌ただしくしていると、部活動帰りの子どもたちが自然と『手伝うよ』と声をかけてくれることもあるんです。また地域の方たちが子どもたちに勉強を教えてくれたり、お箸の持ち方を教えてくれたりすることもあります。現代は人とのつながりが希薄になりがちだからこそ、こうした地域のコミュニティやネットワークを築くことが、子どもたちの成長と安全にもつながっていると感じています」

木津さん自身の経験をきっかけに生まれた「こども食堂レインボー」は、子どもたちの日常を支える大切なセーフティネットとなり、支え合いの輪は今も少しずつ広がり続けている。

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木津明子:スタイリスト。ファッション誌や広告のほか、俳優、タレントのスタイリングを数多く手がける。2021年より「こども食堂レインボー」を運営。Instagram @akikokizu66 @kodomorainbow

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