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韓国では国家試験での不正利用も発覚。話題の“AIスマートグラス”に潜む、無断撮影や悪用のリスク

  • 2026.7.24
Maria Korneeva / Getty Images

“次世代のデバイス”として世界中で注目を集めている「AIスマートグラス」。便利な機能を備える一方で、プライバシー侵害や不正利用への懸念も高まっている。先日、韓国では国家資格試験でAIスマートグラスを使用した疑いで、男性が起訴されたことがニュースとなった。

国家資格試験でAIスマートグラスを使用

見た目は普通のサングラスやメガネでありながら、さまざまなデジタル機能を内蔵したスマートグラス。一見すると一般的なサングラスやメガネと変わらないものの、内部には小型スピーカーやマイク、カメラ、さらには視界に情報を表示できる小型ディスプレイなどが搭載されている。

しかし、なかには便利な機能が備わったAIスマートグラスを悪用する人も。『The Korea JoongAng Daily』の報道によると、光州地方検察庁は6月、消防設備士の国家資格試験でAIスマートグラスを使って不正を行ったとして、男性を国家技術資格法違反の疑いで起訴。AIスマートグラスによるカンニングで刑事責任が問われるのは、韓国で初めてだという。

FreshSplash / Getty Images

5月に光州市内の試験会場で行われた消防設備士の国家資格試験を受験中、試験監督官が40代男性のメガネのレンズに不自然な光の反射を見つけたことで、不正行為が発覚。男性は捜査当局に対し、「スマートグラスと連携するAIアプリを自ら開発し、実際の試験で正しい解答を導き出せるか試してみたかった」と供述したとのこと。

またこの男性だけでなく、同月には、ソウルと全羅南道・木浦でも、AIスマートグラスを使って国家資格試験でカンニングを試みたとして、2人の男性が摘発されたという。さらに、TOEICでも同様の不正が確認されており、5月に2人、6月にも1人の受験者がAIスマートグラスを使用していたことが発覚している。

『The Independent』によれば、こうした不正行為が相次いだことを受け、韓国当局は試験の不正防止対策の見直しに乗り出したとのこと。報道によると、7月10日には主要な国家資格試験を運営する機関の担当者らが会合を開き、AIスマートグラスを試験会場への持ち込み禁止物品に明記することや、不正が発覚した受験者への罰則を大幅に強化することなどについて協議したという。

Meta社のスマートグラスの“カメラ機能”を問題視する声も

コンテンツクリエイターだけでなく、日常の思い出を気軽に残したい人にとっても、スマートグラスの“カメラ機能”は魅力的なはず。その一方で、撮影されていることに気付きにくいという特性から、悪用を懸念する声も上がっている。

Maria Korneeva / Getty Images

特にMeta社のカメラ内蔵型のAIスマートグラスを巡っては、利用者の間でも賛否が分かれており、『Engadget』によると、批判を懸念して着用を控える人も出始めているという。主に一部の男性インフルエンサーが、相手に気付かれないようスマートグラスで女性に声をかける様子を無断で撮影し、その動画をSNSに投稿していることが問題視されているよう。

さらに多くの人は、過去に生体情報や個人データの取り扱いを巡って批判を受けてきたMeta社が、このようなデバイスを提供していることを懸念しているとのこと。特に、同社が顔認識機能の導入を進めていることもあり、プライバシー侵害や監視につながるのではないかとの不安の声は根強いという。

こうした状況から、AIスマートグラスを所有していても、人前で着用することに抵抗を感じるユーザーも少なくないよう。実際に『Engadget』の取材を受けた、旅行系クリエイターのダニエルさんは、このようにコメントしている。

「一部の男性による使い方が、この製品を台無しにしたと思います。着けている人の近くにいたいとは思わないし、私が着けていても周りが安心できるとは思えません。今では“高価な文鎮”のようなものです」

▼Meta社のAIスマートグラスを使って撮影した動画

また、フリーランスの映像プロデューサー、ウィル・クジャワさんも取材に対し、購入を検討していることをSNSに投稿したところ、予想以上に否定的な反応が寄せられたという。

「『あのメガネを着けている人は危ない人』『気味が悪い』というコメントがたくさんあって、『やっぱり買わない方がいいのかもしれない』と思いました。そこまで考えていませんでしたが、顔にカメラを付けるのが適切ではない場面はたくさんあるのです」

AIスマートグラスの悪用防止へ、Meta社が対策強化

このような状況を受けてか、2026年7月7日にMeta社は、第2世代のAIスマートグラスの安全対策を強化すると発表。今回のアップデートでは、写真や動画の撮影中に点滅する白色LEDライトが、物理的に改造・破壊されたことを検知すると、カメラ機能を停止する仕組みを採用するとのこと。

この機能は、録画中であることを示すLED表示を無効化し、他人に気付かれないまま撮影するといった悪用を防ぐことを目的としているという。Meta社は「改ざんを検知する能力は継続的に改善しており、今回はLEDが物理的に改造、または破壊された場合にカメラを停止するよう、スマートグラスをアップデートしています」と説明している。

Meta社によると、すべてのAIスマートグラスには、フレーム前面に白色の「撮影用LED」が搭載されており、このLEDは、写真撮影時には一瞬点滅、動画撮影中は点滅し続ける仕組みで、「オフにすることはできない」とのこと。

また、第2世代モデル以降では、録画を示すLEDが覆われた場合、カメラが自動的に停止する機能がすでに搭載されていたという。そして今回のアップデートではさらに、LEDを改造したり破壊したりするなど、より巧妙な回避行為も検知できるようになるとしている。

便利な機能を備えているものの、悪用のリスクも懸念されているAIスマートグラス。未来のデバイスとして受け入れられるためには、技術の進歩だけでなく、それを扱う人々の責任ある利用も求められる──。

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