1. トップ
  2. エピソード
  3. 「姉ちゃんみたいになれる気がして」姉の物を勝手に借りていた私が言えなかったこと

「姉ちゃんみたいになれる気がして」姉の物を勝手に借りていた私が言えなかったこと

  • 2026.7.26
ハウコレ

返しさえすればいい。

そう軽く考えていた私が、姉には言えなかった本当の理由。付け直したボタンも、ふいた汚れも、口に出せない気持ちのかわりでした。

姉のようにはなれないと、ずっと思っていた

年の離れた姉は、私にとって少し遠い人でした。仕事の段取りも持ち物の選び方も迷いがなくて、その隣に立つと、自分の輪郭がぼやける気がしていました。大事な予定がある日は、姉の物を借りるようになりました。イヤリングやバッグを身につけると、いつもより前を向ける気がしたのです。そのコートも、初めて自分の担当を任される日のためでした。

借りていたコートが、姉に見つかった

その日も、私は姉に無断でコートを借りていました。帰ると姉が待っていて、「それ、私のコートだよね。勝手に着ないでほしいんだけど」と言いました。とっさに「ごめん。ちゃんと返すつもりだったから」と返しましたが、姉が求めているのはそこではないと、口にしてから気づきます。「返せばいいって話じゃないの」その通りでした。返しさえすればいいと、どこかで軽く考えていた自分がいたのです。

本当の理由を、私はずっと言えずにいた

うまく説明できないまま、気づけば口にしていました。「お姉ちゃんみたいになれる気がして」借りるときに取れかけたボタンを付け直したり、汚れをふいたりして返していたのは、せめてもの後ろめたさからでした。姉みたいになりたい。そう伝えれば楽なのに、認めるのが恥ずかしくて、黙って借りるほうを選んでいたのです。

そして...

後日、姉は「今度から、一言声かけてよ」とだけ言いました。責められると思っていた私は「うん、ごめん」と返すのが精一杯でした。あんなに近くにいたのに、借りる勇気より、頼む勇気のほうがずっと要るのだと知りました。次に姉のコートを着るときは、自分の言葉で頼もうと思います。

(20代女性・販売職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ