1. トップ
  2. エピソード
  3. 業務チャットに埋もれた返信を、日付が変わるまで待った俺

業務チャットに埋もれた返信を、日付が変わるまで待った俺

  • 2026.7.23
ハウコレ

「仕事中に一言でいいから、返して」彼女に頼まれて初めて、俺は自分の「誠実さ」がどれだけ自分勝手だったかを知りました。

業務チャットの通知音が途切れた画面を閉じて、俺は彼女宛ての入力欄を開きました。

勤務中のメッセージは、返さないと決めていた

受託開発をやっている俺は、勤務時間中は同僚と客先の業務チャットに常時つながっています。彼女から「今週末どこ行く?」と届いても、頭の半分は仕様書に向いていて、短く「今忙しい」とだけ返すのは彼女に失礼な気がしていました。

だから、腰を据えて話せる、日付が変わったあたりまで返信を待つ。それが俺なりの誠実さのつもりでした。半年、そう続けてきました。

「起きてる?」と送るのが、俺の日課になっていた

終業のあとも溜まった作業を片付けていくと、気づけば日付が変わっています。ようやく一息ついて、彼女に「起きてる?」と送る。既読の速さでいつも起きているのが分かって、ほっとしました。眠そうな返信スタンプに応えながら、俺は自分が誠実なつもりでいました。でも、返信の時間だけ揃えて、彼女がどう受け取っているかを想像したことはありませんでした。

「なんで遅い時間だけ?」の問いに、俺は言葉を選び損ねた

週末のカフェで、彼女が真っすぐこちらを見て「昼間は返してくれないのに、なんで遅い時間だけ?」と口を開きました。俺は1度うつむいてから、「仕事中はまともに返せないから、ちゃんと話したい時間まで待ってた」と答えました。

半年、自分の中で正解だと信じていた理屈が、口に出した瞬間ひどく身勝手に響きました。彼女の顔に浮かんでいたのは責める色ではなく、長く我慢してきた疲れでした。「ごめん、そこまで考えてなかった」と、俺は続けました。

そして...

彼女は「仕事中に一言でいいから、返して」と俺に頼みました。既読でも、絵文字でもいい、と付け足されて、俺は自分がどれだけ「完璧に返そう」に囚われていたかを知りました。翌週から、通知が来たらまず短く返す癖をつけました。日付が変わってからの長いラリーは減り、代わりに勤務中の短い会話が数往復に増えました。誠実さの形は、たぶん1つとは限らないのだと、今の俺は考えています。

(20代男性・エンジニア)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ