1. トップ
  2. エピソード
  3. 「冷凍食品に頼りすぎよ、今の人は」私の手料理を何年も下げ続けた義母。だが、夫の一言で静かになった瞬間

「冷凍食品に頼りすぎよ、今の人は」私の手料理を何年も下げ続けた義母。だが、夫の一言で静かになった瞬間

  • 2026.7.21

保冷バッグの中まで、のぞかれる

義実家へ泊まりに行くと、義母は私の荷物の中身まで見たがる人でした。

作り置きを保冷バッグに詰めて持って行った日、袋を開けた義母が眉を寄せます。

「冷凍食品に頼りすぎよ、今の人は」

「これは家で作って、凍らせただけです」

「そういうのを手抜きって言うのよ。私は毎朝、鍋から作っていたわ」

結婚してから二十年以上、こういう言葉を数えきれないほど受け取ってきました。

掃除の仕方、洗濯物の干し方、そして何より、料理です。

子どもが独立しても、義母の物差しは一度も変わりませんでした。

私が夕飯を作れば、話は必ず同じところへ着地します。

「息子はね、私の作る味で大きくなったの」

その一言が出ると、食卓の会話は止まりました。夫は黙ってご飯を口に運び、義父はテレビの音量を上げます。

下げた皿を洗いながら、蛇口の音だけを聞いている時間が、私は一番きらいでした。

私はそのたび、曖昧に笑ってお茶をつぎ足していました。角を立てずに済むなら、それが一番だと思っていたのです。

正直に話した翌週、夫が箸を置いた

限界を認めたのは、義実家からの帰り道でした。

助手席で、私は何年ぶりかに本音を言葉にしました。

「お義母さんを悪く言いたいんじゃないの。ただ、毎回比べられるのが、しんどい」

夫は前を向いたまま、しばらく何も返しません。やがて、短く息を吐きました。

「…ずっと、平気な顔してたから」

翌週、義母がうちへ来ました。

私が作った肉じゃがを一口食べて、案の定、箸を置きます。

「やっぱり甘いわね。息子はもっと濃い味が好きなの」

先に箸を置いたのは、夫でした。

「母さんの味も好きだよ。でも、俺が毎日食べてるのは、この人の作った飯なんだ。比べる言い方は、もうやめてくれないかな」

義母の口元が、動かなくなりました。

「…私は、あなたのために言ってるのよ」

「俺のためなら、うちの飯を褒めてくれよ」

義母は何か言いかけ、湯呑みを持ち上げ、飲みもしないまま置きました。

二度、口を開いて、二度とも音になりません。やがて視線を皿へ落とし、肉じゃがを黙って食べ始めます。

お茶を運んできた娘が、父親の背中を見て、小さくうなずきました。

「理解してもらいたいだけなんです」

私は義母の方を見て、そう伝えました。

あれ以来、比べる言葉は消えました。先日など、うちへ来た義母が、玄関で靴を脱ぐ前にこう聞いてきたのです。

「今日の献立、私が手を出しても…大丈夫かしら」

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ