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予約が取れないまま迎えた結婚5年目の当日、俺は妻に何も切り出せなかった

  • 2026.7.22
ハウコレ

何ヶ月も前から書き溜めた店の候補は、迷い続けるうちに予約枠が埋まっていきました。

何かを言おうとするたび、俺は妻の目を見られないまま口を閉じていました。予約フォームのエラー画面を見つめたのは、記念日の前日、これで10軒目のことでした。

目星をつけた店から順に埋まっていった

結婚から丸5年、俺は数ヶ月前から気になる店をノートに書き溜めていました。妻の好きな和食、2人で通ったフレンチ、結婚式のあとで訪ねたホテル。ただ「ここでいいのか」と迷ううちに、目星をつけた店から順に予約枠が埋まっていきます。

ノートの端には「レストランのメッセージプレートに書いてもらう一言」という欄も用意していました。「妻へ、5年間ありがとう」と書き出しては、これじゃ照れ臭いと消し、書き直してはまた消していました。

もう少し早く決めていればよかったんだよな。目を覚まし、ダメ元で開いた最後の予約画面にも、満席の表示だけが残っていました。

妻の顔を見られなかった食事

2人で出かけた買い物の帰り道、妻が「どこか外に食べに行こうか」と口にした時、俺の頭には満席の文字が載る予約画面が浮かびました。ここで頷いたら、行き先を決められなかった自分を認めることになります。

俺は「疲れてるからいいかな」と首を振りました。家に着いてから、俺は台所に立って「今日は出前でいい?」と聞くのがやっとでした。妻は「うん、いいよ」と短く返しました。届いたカレーを口に運びながら、俺は妻の顔をまっすぐ見られませんでした。テレビの音量を上げて、言い訳の声を自分の中でかき消していました。

妻が引き出しに近づいた気配

食器を片付けた妻が寝室へ向かう足音を聞いた時、俺は机の引き出しに、消し跡だらけのノートを入れっぱなしにしていたことに気づきました。取りに行こうか迷っているうちに、寝室から出てきた妻は、いつもと同じ声で「先に寝るね」とだけ言いました。

ノートを見られたのか、見ていないのか、聞く勇気はありませんでした。俺はソファに座ったまま、机の中の走り書きのページを頭の中で開いていました。

そして...

翌日、コーヒーを差し出した妻が「昨日、記念日だったね」と切り出しました。俺は「予約が取れなくて、言い出せなかった」とだけ返しました。完璧な店と、完璧な一言を用意することにこだわりすぎたんだと、今なら思います。

今年から、俺たちは記念日には店を決めずにとりあえず出かける約束をしました。書き終わらなかったあの一言は、次こそきちんと妻に渡したいです。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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