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「その化粧品、明日には私も持ってる」話した順に持ち物を真似る先輩。だが、私が置いた指輪に興味を示した結果

  • 2026.7.11

予告どおりに変わる持ち物

事務職として働いていた、二十代の頃のことです。

同期とのおしゃべりだけが、単調な一日の楽しみでした。

その日も、休憩室で新しい化粧品の話をしていました。少し離れた席に、無口な先輩がいたのを覚えています。

翌日、その先輩が同じ化粧ポーチを持っていることに気づいたとき、同期が小声で言いました。

「ねえ、あの化粧品、昨日私たちが話してたやつだよね」

最初は偶然だと思いました。けれど、それは一度では終わりません。

髪型を話せば翌週その髪型に。髪色を話せば、その色に。私たちが口にした順番のとおりに、先輩の見た目が塗り替えられていったのです。

やがて先輩は、隠そうともしなくなりました。

廊下で私を呼び止めて、こう言ったのです。

「その化粧品、明日には私も持ってる」

予告でした。

そして翌日、先輩の机には、本当に同じブランドの化粧ポーチが置かれていたのです。

ぞっとして立ちすくむ私に、先輩は満足げに微笑みます。

「あなたの持ち物、全部いいと思うの。だから同じにしたいだけ」

「やめてください」

思わず出た私の声にも、先輩はきょとんとするばかりでした。

休憩中、先輩は近くにいないはず。なのに、なぜ会話がすべて筒抜けなのでしょう。

机に置いた指輪と、翌日の沈黙

このままでは気味が悪い。私は同期と、一つの罠を仕掛けることにしました。

いつもは使わない、建物の裏手にある狭い休憩スペースを選びました。

そこで机の上に一つの指輪をわざと置いて、聞こえよがしに話すのです。

「この小指の指輪、すごく気に入ってるんだ」

「いいなあ、私も同じの探そうかな」

そう話しはじめた時、少し後ろから、先輩がついてくる足音がしました。

私たちは気づかないふりで、指輪の話を続けます。

そして翌日。先輩の小指には、机に置いたものとそっくりの指輪がはまっていたのです。

私は同期と目を合わせ、先輩に聞こえるように、はっきりと言いました。

「あの指輪で試したの、気づいた?」

先輩は、動きを止めました。

指輪をはめた手が、宙で固まります。顔からみるみる血の気が引き、開きかけた口は、とうとう一言も発しませんでした。

その場に、痛いほどの沈黙が落ちます。

通りかかった別の同僚が、ささやきました。

「あの人の真似、やっぱりわざとだったんだ」

それきり、先輩が私たちの会話に聞き耳を立てることはなくなりました。すれ違っても、目を伏せて通り過ぎるだけです。私の持ち物を欲しがっていた視線は、もうどこにも向いてきません。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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