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「きゅうり、今年は27本ね」我が家の庭の状況を把握している隣人。だが、防犯カメラを置いてみた結果

  • 2026.7.11

今年のきゅうりの本数まで

庭の一角で家庭菜園を続けて、もう何年になるだろう。

今年はきゅうりがよく育ち、夏の間、食卓をにぎわせてくれた。

その収穫の様子を、なぜか隣の女性のほうが詳しく把握していた。

垣根越しの立ち話で、彼女はさらりと言ってのけた。

「きゅうり、今年は27本ね」

思わず耳を疑った。私自身、収穫のたびにノートに数を書き留めていて、その時点でちょうど27本。

数字まで、寸分たがわず合っていたのだ。

「どうして、本数まで……」

「毎日眺めてれば、だいたい分かるわよ。昨日は留守にしてたみたいだけど、朝のうちに3本採ってたでしょう」

その日、私は朝から出かけていて、家には誰もいなかった。

留守の間に庭へ入り込んで、収穫のあとまで確かめていたとしか思えない。垣根はあるが、背伸びをすれば畝の様子はのぞける。彼女は毎日、我が家の庭を品定めするように眺めていたのだろう。

「見てらっしゃったんですか、うちの庭を」

「見えちゃうんだもの、しかたないでしょう」

悪びれもせず、彼女は笑った。その日から、庭に出るたびに視線を感じるようになった。

誰かに数えられている畑は、もう自分だけのものではない気がした。

防犯カメラを見た日から

耐えられなくなった私は、ネット通販で大きめの防犯カメラを取り寄せた。中身は空の、見た目だけのダミーだったが、それでかまわなかった。

玄関の軒先に、庭を見渡せる角度で据え付けた。

効き目は、その日のうちに現れた。庭に出た私のところへ、隣の女性がいつものように近づいてくる。

だが、その足がふいに止まった。視線の先には、こちらを向いたカメラがあった。

「ねえ…あのカメラ、どうしたの」

問いかける声が、明らかに硬い。

「最近物騒でしょう。庭までしっかり映るようにしたんです」

私が穏やかにそう返すと、彼女の顔から笑みが消えた。

「そう…余計なこと、聞いちゃったわね」

そう言い残すのが精一杯だったのか、彼女は目を伏せ、逃げるように垣根の向こうへ引っ込んでいった。

「あそこの奥さん、よその庭ばかり見てるのよ」

後になって、近所でも彼女の詮索は噂になっていたと知った。

そうこぼしていた人が、ほかにもいたそうだ。

カメラを見た日から、彼女の態度は一変した。あれほど毎日のように交わしていた挨拶が、ぱたりと途絶えた。

庭先ですれ違っても、彼女は気まずそうに顔をそむけ、足早に通り過ぎていく。きゅうりが何本採れたかを私より先に言い当てる声は、もう二度と聞こえてこなかった。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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