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「“ちゃんとした人”を演じなければ」美容師や宅配業者と会う前にもお酒を飲んでいた理由【著者インタビュー】

  • 2026.7.11

【漫画】本編を読む

「たった一杯だけ」と出勤前に手を出したカルーアミルク。その一杯からアルコール依存症になり、苦しんだ日々を綴ったのが『人生が一度めちゃめちゃになったアルコール依存症OLの話』(かどなしまる/KADOKAWA)だ。著者・かどなしまるさんが、会社の人間関係のストレスをきっかけにアルコール依存症となり、その回復までを描いたコミックエッセイである。駅のトイレなどでお酒を飲んでからの出勤が常習化。仕事にも双子の妹との生活にも支障が出ているのに、それでもお酒がやめられない……。そんな明らかに異常だった日々と、回復するまでの道のりが生々しく語られている。かどなしまるさんに、アルコール依存症だった当時の心境や、振り返ることで見えてきた根本的な原因、自身の性格について語ってもらった。

※本作品はアルコール依存症に関する内容となっており、作品は一部センシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

――アルコール依存症になってからは、出社前だけでなく日常の人と会う前にもお酒を飲むようになっていったとのことですが、これは出勤前にお酒を飲み始めるようになってからどのくらいのことですか?

かどなしまる(以下、かどなし):すぐです。出勤前に飲み始めて以降はあっという間で。「お酒を飲めばその場をなんとかやり過ごせた」という変な成功体験に味をしめてしまっていました。「お酒がなんとかしてくれる」という感覚がどんどん強くなっていって、お酒を飲まない状態で人と関わること自体が怖くなっていました。

――宅配業者の方や美容師さんと会話する前にも飲酒してしまっていたとあります。宅配業者さんや美容師さんであれば「こちらから話しかけなくてもよい」と割り切ってしまうこともできると思うのですが、そうしなかったのはなぜですか?

かどなし:人より下の立場としてわきまえた対応をしなければいけない、そうでないと存在してはいけない……という気持ちがあったので、「話したくなければ話さなくていい」と割り切ることができなかったんです。「私は恥ずかしい存在」という自認もあって、そうではない人になりたかったので“ちゃんとした人”を演じなければならないし、相手にそう思ってもらえたら自分を肯定できる気がしていました。それに自分自身が人の一挙手一投足にすごく敏感で傷ついたり不安になったりしていたので、「相手も同じように傷つくかもしれない」「不快に思うかもしれない」と勝手に想像してしまっていて。その結果、自分が“こうしてほしい”と思う対応を、相手にも過剰に求めてしまっているところもありました。

――ブログを読んで美容室に行くのに緊張しなくなったと拝見しました。依存症から脱却後、人との向き合い方にも変化はありましたか?

かどなし:他人との境界線を少しずつひけるようになってきました。以前は相手が不機嫌だと「自分のせいかもしれない」「自分の言動に何か問題があったのではないか」と捉えがちでした。でも今は、真実がどうであれ相手の感情は相手のものだし、自分の不安は自分のものなんだと思えるようになっています。「自分が感じていることに正解や不正解があるわけではない」ことが少しずつ腑に落ちてから、人に対して必要以上に力むことも減ってきました。

取材・文=原智香

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