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満員電車で背中に当たる何かにいら立った私が、降り際に深く頭を下げられた話

  • 2026.7.11
ハウコレ

仕事帰りの満員電車で、背中に硬いものが何度も当たっていました。荷物の角だと思い、私は後ろの人にいら立っていました。けれど振り向いた先にあったのは、大きなリュックではなく、抱っこ紐の中で眠る赤ちゃんの小さな足でした。

背中に当たり続ける硬いもの

仕事帰り、私はいつもの路線で吊り革につかまっていました。車内は人でいっぱいで、体の向きを変えるのも難しいほどでした。

しばらくすると、背中の真ん中あたりに硬いものが当たり始めました。駅に着くたびに人が増え、そのたびに同じ場所へ押しつけられます。

後ろの人が大きな荷物でも背負っているのだろうと思いました。少し避けても当たり方は変わらず、私はだんだん腹立たしくなっていきました。

押し返すつもりで踏ん張った

次の駅で、さらに人が乗ってきました。後ろからの圧が強まり、背中の硬いものも前より近く感じました。

これ以上押されるのは嫌だと思い、私は足元を固めるように立ちました。後ろの人に気づいてほしくて、わざと肩を引くようにしました。

それでも、背中に当たる感触は変わりません。文句を言うほどではない。でも我慢するには近すぎる。そんな気持ちのまま、私は肩越しに後ろを見ました。

そこにいた小さな子

後ろにいたのは、大きな荷物を背負った人ではありませんでした。男性の胸元には抱っこ紐があり、その中で赤ちゃんが眠っていました。

私に当たっていたのは、抱っこ紐の留め具と、赤ちゃんを守るように添えられた男性の腕でした。男性は揺れる車内で体を丸め、人混みの圧が赤ちゃんへ向かわないように支えていました。

私はそれまで、後ろの人が自分のことしか考えていないのだと思っていました。でも、その人は限られたスペースの中で、赤ちゃんをかばうことだけに必死だったのです。

そして...

降りる駅が近づいたとき、私は少しだけ立ち位置を変えました。人の流れが赤ちゃんへ向かわないように、自分の背中で受ける形にしました。

ホームに降りようとしたとき、後ろの男性が私に向かって頭を下げました。「ありがとうございました。助かりました」と言われ、私はうなずくことしかできませんでした。

さっきまで邪魔だと思っていたものの先に、小さな子を守る腕がありました。見えない事情に気づく前にいら立っていた自分を、帰り道に何度も思い出しました。満員電車で見えているものは、いつも全部ではないのだと思います。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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