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忘れられないおもちゃの話。「相棒にして癒やし、癖ありなぬいぐるみたち」俳優、日本舞踊家・藤間爽子

  • 2026.7.11
織山朋 イラスト

小さい頃はごっこ遊びが大好きで、友達とも決まってお店屋さんごっこやお母さんごっこをしていました。一人で遊ぶ時も同じで、自分だけの世界に入り込んで一人しゃべり(笑)。そんな時に子供役になってくれたり生徒役をしてくれたり。キャストとして活躍してくれたのが、人形やぬいぐるみの数々です。

中でも選びがちだったのは、不思議な佇まいの子。癖ありというか、キモカワというか……。周りの友達はウサギやリスのようなキュートなぬいぐるみをかわいがる中、私が最初に買ってもらったのは手足がヒョロリと長い猿でしたし、たらこ唇のカエルシリーズは小学校低学年の頃のお気に入り。

「私が連れて帰らないと、取り残されちゃうんじゃないか」と思わされる隙のある子に惹かれてしまうんです。ごっこ遊びを卒業してからも、一緒に寝たり、外に連れていったり、いつも一緒でした。

そして、出会いはいつも一期一会。ことぬいぐるみに関しては“目が合う”感覚になることがあるんです。同じ種類が並ぶ中でも必ずビビッとくる瞬間があり、その子を連れて帰っていました。そして眺めるだけで、買った時の記憶が瞬時に蘇ります。

靴下で作られた猿のぬいぐるみ、ポールフランクの《ジュリアスソックモンキー》もその一つ。20年以上が経った今でも、母とデパートに行ったこと、〈プラザ〉で見つけた時のこと、すべてが昨日のことのように脳裏に浮かびます。

織山朋 イラスト

そして実は、ぬいぐるみ好きは今も変わらず、自宅のベッドの上には相変わらず10体ほどがずらりと並んでいます。いい大人なので大きな声では言えませんが、旅行や撮影などで長期で家を離れる時は、バッグの中にお気に入りの子をこっそり忍ばせていて。滞在先が無機質なホテルでも、お馴染みの一体がただそこにいるだけで心が落ち着くんですよね。

新しい子が増えるたび、友人や家族には「また買ったの?」と少々引かれますが、ぬいぐるみはこれまでもこれからも、私の生活に寄り添う欠かせない存在です。

profile

藤間爽子(俳優、日本舞踊家)

ふじま・さわこ/1994年東京都生まれ。日本舞踊の家に生まれ、2021年には三代目藤間紫を襲名。俳優としても活躍し、最近の出演作にNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』などがある。26年3月19日~、舞台『砂の女』に出演。

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