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【高島礼子さん】パーキンソン病の父を13年間、介護。高島さんを救った俳優・戸田恵子さんの言葉とは?[ターニングポイント#2]

  • 2026.4.25

【高島礼子さん】パーキンソン病の父を13年間、介護。高島さんを救った俳優・戸田恵子さんの言葉とは?[ターニングポイント#2]

高島礼子さんの転機となった50代初めは、一方で父の介護がスタートした時期でもありました。しかし、行動する勇気を知った高島さんは、一人で抱え込まずに周囲に助けを借りる方法を取ります。予想以上に多くの人が情報や知恵を授けてくれ、おかげで13年間の介護生活を乗り切ることができたと話す高島さん。ますます前向きにエネルギッシュに、そしてしなやかに挑戦を続ける高島さんは、どんな未来を夢見ているのでしょう。

チャンスに乗って未知の芸能界へ

芸能界に入ったのは、本当にひょんなきっかけだった。高校を卒業後、自動車好きが高じて横浜市内の自動車関連会社に就職、3年間OLとして働きながら、アマチュアレーサーとして活動していたが、レース資金を稼ぐために、会社を辞めてレースクイーンをやったり、モデルの仕事をしたり……ということを始めていた。88年、あるコマーシャルに出演したところ、その映像を見ていた俳優の松平健さんの目に留まり、いきなり「暴れん坊将軍Ⅲ」への抜擢となったのだ。

「思えば、これこそ最初の大きなターニングポイントでした。劇団やさまざまな場所で修業を積んだ方には本当に申し訳ないほど、自分の努力もなくそんな大きな作品に関わることになってしまいました。ましてや、当時の私は芸能界に全く興味がありませんでした。でも若気の至りと申しますか、『暴れん坊将軍』だと伺って、「面白そう、やってみたい」という興味だけで飛び込んでしまいました。自分の努力とかが全く関係のないところで、こうしたチャンスが巡ってくることがあるのだなと、今振り返ってみると感じるんです」

いきなりの芸能界デビューで、しかもいきなりの時代劇。最初の現場が京都・太秦の撮影所というなかなかハードなスタートでもあった。

「皆さん、『太秦ですから苦労されたんじゃないですか?」とよく言ってくださるんです。たぶん苦労はしたと思うんですけど、それがデビューでしたから、『俳優というお仕事は、皆さんこうして経験を積んで頑張ってこられたんだな。本当に俳優さんはすごいな』と素直に受け止めて、誰もが通る道なのだと思っていたので、苦労とも思わなかったんですよね。また、それを支えてくださる方もたくさんいらっしゃいました。本当にありがたいことだったと思います。『やってみたい』という気持ちだけで、全く何も考えずに遠慮なく飛び込んだことが転機となったのかもしれません」

自動車が好きで、レースを楽しんでいたOLが、ある日突然、俳優の道を歩くことになった。それはきっと、世界が180度変わってしまうような出来事だったに違いない。しかし、いつもがいつも順風満帆だったわけではない。仕事がなかなか来なくなってしまったときは、当時、新人でありながら、マネージャーさんに時間を作ってもらい、「私に仕事をください」と頼み込んだ。

「行動しないといけないということは、きっとその頃からわかっていたのでしょうね。もちろんこちらが動いたことが100%成就することばかりではなくて、突然向こうから声をかけていただくご縁もありましたから、一概には言えません。ただ、一つだけ言えるのは、『グジグジ言っていても、仕方がない』ということ。先に行きたいのだったら、開けたい扉を叩く。とにかく行動する。そうして歩んできた結果、気がつけば、いろんな方々にかわいがっていただけるようになりました」

一歩踏み出せば癖になる

いろいろな人の声を聞いてみる。呼びかけてみる。一人で抱えていないで、困ったり悩んだりしたら、まずは行動してみる。その学びは、父・武さんの介護が始まったときにも生かされた。

「父親にパーキンソン病という診断が下って、でも全く予備知識がなかったので『パーキンソンとは何ですか?』というような状態で、これからどうしたらいいのだろうと途方に暮れてしまいました。そのとき、ドラマの現場で先輩俳優の戸田恵子さんと一緒だったんです。私が沈んでいるのに気づいて、『暗いわね、高島。どうしたの?』と声をかけてくださいました。私は当時、人様にこのような個人的な、しかも暗い話をしてはいけないのではないかなと思ってためらっていたのですが、思い切って『すみません、実は………』と打ち明けてみたところ、『もう、そんなことだったら言ってよ!私は介護のベテランよ』と言ってくださったんです」

それからも、渡辺えりさん、鷲尾真知子さんと、いろいろな先輩が自身の体験や情報、アドバイスをくれた。

「こんなことを人に話しても……と思っていたけれど、自分が心を開いて助けを求めたら、みんな返してくださるということを知って本当に感激しました。私の中の引き出しに入っているものなんて知れています。だったら、皆さんの引き出しのものを少し分けていただいて、教えていただく。そのことの大切さを改めて学びました」

結局、13年間父の介護は続いた。よく「つらかったでしょう?」と周りから言われたというが、当時、父の主治医から、高島さんはこんなことを言われたのだそうだ。「つらいのはお父様ですから」

ああ、そうだよなぁと反省した。いくら周りが大変だ、つらいと言ったって、一番大変なのは、苦しい症状と闘って、たくさんの管につながれている父本人なのだ。その主治医の助言も含めて、いろいろな人が遠慮なくいろんなことを教えてくれた。

「それが本当にありがたかったです。やはり、人間関係を結んでいくことは大事なのだと知りました」

最近は、他の家族に高島さん一人だけ混ざってごはんに呼ばれることもある。若い世代の友人にも、どんどん自分から近づいていく。

「『礼子ちゃんは家族よ』と言っていただいては、遠慮なく家族団らんの中にお邪魔したり、若い世代の子に、わからない最近のことを教えてもらったり、だんだん厚かましくなってきました(笑)。でも、おかげさまで毎日が楽しいですね」

よく同世代の女性たちが、「この年から何かを始めるなんて」と言うのを聞いたりするが、もったいないと思う。

「5月に上演する舞台『明日の幸福』で演出をされている石井ふく子先生は、もうすぐ100歳を迎えられます。今も現役で精力的にお仕事をされていますが、その前で『ダイエットしています』などと申し上げようものなら、『あら、まだ若いんだからちゃんと食べなきゃだめよ』と仰られるんですよ(笑)。そう言っていただくと、ああ、まだまだ私もこれからなんだなと勇気をいただけます。考えてみたら、私も石井先生の舞台に出演させていただき始めたのが50歳を過ぎてからで、一昨年はミュージカルにも初挑戦しました。最初は『歌なんて歌えない』と断言していたんですが、いざやってみたら、挑戦して本当によかったなと思います。いくつになっても経験したことのないことはたくさんあると思いますし、そうした未知のものへ挑戦していく心だけは忘れないでいきたいです。一歩踏み出すとそれが自信になって、癖になりますよ。その後は、何にでも踏み出さずにはいられなくなる。同世代の方には、恐れずに『一緒に踏み出していきましょう』、と呼びかけたいですね」

プロフィール
高島礼子さん 俳優

たかしま・れいこ●1964年神奈川県生まれ。
88年に「暴れん坊将軍Ⅲ」で女優デビュー。以後、映画、テレビ、舞台、CM、バラエティ、情報番組など各分野で活躍。代表作に映画『極道の妻たちシリーズ』『陽炎2・3・4』 などがある。
映画『長崎ぶらぶら節』で第24回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。
Instagramにて日々の記録を更新中。

【Information】新派・松竹新喜劇 合同喜劇公演『明日の幸福』

7年ぶりに実現した新派と松竹新喜劇の合同公演。松竹新喜劇の『お種と仙太朗』と2本立てで上演される新派の公演が、1954(昭和29)年の初演以来、何度も再演を重ねている喜劇作品『明日の幸福』だ。今回は演出に石井ふく子を迎え、石井の生誕百年記念公演として上演される。舞台は昭和30年頃の松崎家。家庭裁判所所長の松崎寿敏(三田村邦彦)は、嫁姑問題が絡む離婚調停に奔走していた。そんな松崎家は、政界の大物である寿敏の父・寿一郎(渋谷天外)が絶対権力を握る大家族。妻の淑子(水谷八重子)、寿敏の嫁の恵子(高島礼子)、孫の寿雄(丹羽貞仁)と新妻の富美子(春本由香)は、家長の顔色を窺う毎日。ある日、寿一郎の入閣の御礼に贈るはずの大切な「馬のハニワ」を恵子が誤って破損してしまう。慌てて隠すが、富美子も同じハニワを落として愕然。必死の隠蔽工作が始まるが、発覚したときに名乗り出た真犯人とは? 三世代の関係の中に「家族の幸福」とは何かを問いかける、爆笑と感動の傑作ホームドラマの金字塔。

作/中野 實 演出/石井ふく子
出演/水谷八重子、渋谷天外、久本雅美、田口守、瀬戸摩純、喜多村一朗、丹羽貞仁、春本由香、三田村邦彦、高島礼子
【日程】2026年5月9日(土)~19日(火)新橋演舞場
1等席1万3500円、2等席8500円、3階A席5000円、3階B席3500円、桟敷席1万4500円
チケットホン松竹☎0570-000-489または03-6745-0888(10:00~17:00)
チケットWeb松竹 https:www1.ticket-web-shochiku.com/t/

撮影/園田昭彦
ヘア&メイク/佐々木大輔(TRINE)
スタイリング/村井 緑
衣装/ワイズ
アクセサリー/アビステ

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