1. トップ
  2. 昔の価値観を押し付ける。聞く耳を持たず怒り狂う。「老害」の両親に悩む50代主婦の姿が伝えるのは、現役世代にも響くメッセージ【書評】

昔の価値観を押し付ける。聞く耳を持たず怒り狂う。「老害」の両親に悩む50代主婦の姿が伝えるのは、現役世代にも響くメッセージ【書評】

  • 2026.7.9

【漫画】本編を読む

「老害」とは、年配者が昔の価値観を押し付けるなどして、他者の迷惑や不利益を生むことを指す言葉だ。『わたしの親が老害なんて』(西野みや子/KADOKAWA)は、50代の主婦が80代の両親による老害に悩む姿を描いたセミフィクションである。

物語は54歳の栄子の視点で進んでいく。一人娘は結婚して家を出ており、定年退職を間近に控えた夫とふたり暮らしだが、週に2回、近所に住む80代の両親の家事の手伝いをしていた。そのことで栄子は数年前からある悩みを抱えていた。それは、両親が年を取るごとに栄子の言葉に対して聞く耳を持たず、頑固になっていっていることだ。以前、食事に行った店が混雑し並んでいたところ、人数の都合で後から並んでいたグループが先に通されたことに父親が激しく怒り、警備員を呼ばれて大騒ぎに。しかしそんなことをしておいて一切反省しない父親と何も言わない母親を見て、栄子は両親から離れたいという気持ちが大きくなっていく。

さらに、里帰り出産の準備で帰省した娘を実家に連れて行くと、出産や育児について昔の常識を押し付け、無神経な言葉を孫に掛ける両親に栄子の不安はより大きくなるのだった。

自分の言葉を聞かない両親と距離を取りたい。しかしそれは見捨てることになるのではないか。そう苦悩する栄子の姿が痛々しく、共感する人は少なくないだろう。だが、本書の終盤は栄子の娘に視点が切り替わるのだが、それまで栄子に感情移入していたところから、ハッとする人も多いはずである。

長く生きれば生きるほど、常識や価値観のアップデートはそう簡単にできるものではない。だが、物事に対して、ひと呼吸置いて考える気持ちの余裕を持っていれば「老害」と言われる可能性はかなり低くなるはずだ。本作は高齢者に限った話ではなく、新入社員などとコミュニケーションが必要な現役世代の人にも大きな教訓を与えてくれる作品である。

文=nobuo

元記事で読む
の記事をもっとみる