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【60代ライフスタイル】都会のウォーキングと何が違う?60代がハマる「里山散歩」の心地よい魅力【石川三千花さん・エッセイ】

  • 2026.7.7

長野の山荘での暮らしを気に入って、東京との二拠点生活を続けている三千花さん。
今回は、都会での健康のためのウォーキングとは異なる、里山散歩の楽しみについてのお話です。


2年前に長野県にある低山の山荘を知人から譲り受けて、それ以来、すっかり自然に囲まれた生活が気に入り、いつの間にか二拠点生活を送るようになってしまった。若いときには山より断然、海が好きだったので、まさか自分が山道の散歩を「ただ歩いているだけなのに、なんて楽しいんだろう」などと思うようになったのが不思議なくらいだ。

でも本当なのだ。

山荘のある山の入り口に着いた途端に、気分はうきうき。なんて空気がおいしいんだろう! 春は木の芽が吹き出し、新緑が目に鮮やかで、夏は涼しく夕暮れどきの空の美しさったらない。秋は周りの木々が黄金色に輝き、華やかな紅葉を愛で、冬はキーンと澄んで冷ややかな空気と静寂に心奪われる。要するに、四季折々の自然に触れて、飽きるということがないのだ。

東京でも散歩はするが、それはどちらかというと健康のためのウォーキングのようなもので、山の散歩とは楽しさのレベルがまったく違う。道端に咲く可憐な花に目を留め、野鳥の鳴く方向へ耳を澄まし、木々の葉っぱの色や形に感心する。時折出くわす鹿を見るのも嬉しいものだ(地元の住民は迷惑がっているが)。

自然が手にとるように近くて、なんだか山に来ると五感が研ぎ澄まされたかのように、目に入るものすべてに感心してしまうが、同時にとてもリラックスしている。この心地よさを味わうために、本格的な登山とはまったく違う、里山の散歩を私はおすすめしたい。

住んでいる街から近い里山の散歩なら、特別な装備などは不要で、気軽に歩くだけで心も体もリフレッシュできること請け合い。体力的にも山の頂上を目指す登山はきついものだが、里山なら山の入り口まで電車や車で行くのもあり。歩き疲れたら、地ビールやジェラートのあるお店で休憩するのが散歩の醍醐味。

標高の高さを気にしたり山頂時の達成感を味わったりする求道的な登山ではない、あくまでもリラックス目的の里山の散歩。私たち世代にはなんとも心地よいものだが、せっかく来たのだからと張り切り過ぎにはご用心だ。

長く歩いていれば汗は吹き出す。必ず水分補給は忘れずに。近場だからといって、軽装すぎるのも禁物だ。ちゃんとスニーカーを履いて、日除けの服装を心がけよう。

それと最近では最も恐ろしい、熊出現のハザードマップチェックは忘れずに。色々な予防グッズがあるが、熊が目撃されたところには近づかない。これがいちばん大事でしょう。

イラスト&文/石川三千花

※素敵なあの人2026年7月号「石川三千花の素敵とそれなりの間にはvol.72」より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

この記事を書いた人 石川三千花さん

映画、ファッションについて独自の観点からイラスト+エッセイを展開。著書に『石川三千花の勝手にオスカー』(集英社)、『勝手にシネマ・フィーバー』(文藝春秋)など多数。

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