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【2026秋冬デニムトレンド】装飾か究極のベーシックか? 二極化する高級ジーンズの現状

  • 2026.7.7
LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT

「当時、ジーンズの作り方を知っている人は5人しかいませんでした」とジェーン・ハーマンは2000年代初頭を振り返る。ニューヨーク大学の学生だった彼女は、夏休みに父親がロサンゼルスに構えるショップ「ロンハーマン」でプレミアムデニムを販売していた。当時は、ヒゲ加工が施され、ロゴが主張するような、ひと目を引くデニムの時代。「カルバン・クライン」や「グロリア・ヴァンダービルト」の名が無数のジーンズに刻まれた、80年代のデザイナージーンズブームの余韻が残っていた。「デニムブームが起きて、突然ジーンズが200ドルになったのです」と彼女は語る。

「ディオール」2026年秋冬コレクション Carlo Scarpato / LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT

ラグジュアリーデニムの愛好家にとって、200ドルは大した金額ではないのかもしれない。「ディオール」の2026年秋冬コレクションで披露された装飾的なデニム、「アライア」のデニムラインのローンチ、そして「シャネル」のマチュー・ブレイジーがメティエダール・コレクションで披露したコミューターコア(通勤スタイル)のジーンズの提案などが、カジュアルウエアの代名詞を再びランウェイの主役へと押し上げたからだ。幽玄で流麗なドレスで知られる「アーデム」のように、デニムのイメージがなかったデザイナーでさえ、ラグジュアリー界のデニムトレンドに参入している。

「この20年間で、ジーンズをどうデザインすべきか、みんなが本当に理解した」と、ハーマンは分析する。デニムのエキスパートであり、『ELLE』を始めとする雑誌のエディターとして審美眼を磨いてきたハーマンは、自身のニュースレター『Jane on Jeans』で長年この分野を取材している。

「アーデム」2026年秋冬コレクション Launchmetrics.com/spotlight

今やデニムのプロを招き入れるラグジュアリーブランドは珍しくない。「主要なブランドは、デニムデザインを学び、専門知識を持つ人をコンサルタントとして招き入れる必要があることに気づいたのです」とハーマンは語る。「そして、デニムを手がける本当に素晴らしいブランドには、そうした人材がいます」。彼女は、「ケイト」や「ウラ ジョンソン」などのブランドと仕事をしてきた、ロサンゼルスで有名でなベンジャミン・タリー・スミスを挙げている。

ラグジュアリーファッションECサイトのモーダオペランディでバイイング・ディレクターを務めるマーク・ロフスキーは、背景や文脈が重要だと指摘する。「ランウェイに登場するようなラグジュアリーなデニムには、根拠と正当性がなくてはなりません」。彼によると、同サイトの顧客には、バレルレッグのトレンドをけん引する「アライア」のデニムが好評だったという。

「ヴァレンティノ」2026年秋冬コレクション Launchmetrics.com/spotlight

今のデニムシーンは二極化しているのだと彼は語る。「ワードローブの定番」と呼ぶような、着用あたりのコストパフォーマンスが高く、無駄をそぎ落としたスタイルを求める買い物客もいる。「ザ・ロウ」では、スリムレッグが人気の品番の一つだ。「90年代にインスパイアされたスリムなシルエットか、よりワイドでバギーなシルエットのいずれかが売れており、それは全体のラインナップに共通しています」と彼は話す。「ケイト」も際立っており、「ダークでクリーンなウォッシュ」が特に人気を集めている。

一方で、投資に見合うだけの特別なデニムに惹かれる人もいる。例えば「クロエ」の70年代風パッチワークスタイルや、「プロエンザ スクーラー」のリバースアシッドウォッシュのような話題性のあるアイテムも売れ筋だ。

「『ブランドン マックスウェル』のデニムはとても好調です。特に、少しダメージの入ったヴィンテージウォッシュや、何かしらの目新しさがあるものは人気です」とロフスキーは語る。

「ブランドン マックスウェル」2026年秋冬コレクション Stas Komarovski / Courtesy of Brandon Maxwell / LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT

デニムの価格高騰はこれからも続くのだろうか?「日常使いの定番デニムに関しては、素材やクラフトマンシップの面で確かな根拠がない限り、価格をどんどん上げることを正当化するのは難しくなると思います」とロフスキーは指摘する。「もしブランドが、手仕上げや手洗い、手縫いといった職人技が光るスタイルを発表すれば、それは価格上昇の正当な理由になります。その一方で、デニムに斬新さを吹き込み、さらに可能性を広げていく余地はまだまだたくさんあると考えています」

「コナー アイヴス」2026年秋冬コレクションのアップサイクルジーンズ Launchmetrics.com/spotlight

モーダオペランディのトランクショーは、次シーズンに何がはやるかを見通す、水晶玉として、新たなビジネスモデルとなっている。来シーズンのトップセラーのひとつは、「コナー アイヴス」が2026年秋冬のランウェイで披露した、ミリタリー調の金糸刺しゅうを施したアップサイクルの「リーバイス」だった。「どれほど多くの顧客がこのジーンズを注文したか、本当に驚かされました」と彼は語る。「これは、トレンドのゆくえを如実に示していると思います。ごくありふれたものを、デザイナーブランドの顧客が喉から手が出るほど欲しがるような形に昇華させているのです」

また、クチュールのように感じられるデニムについても特筆すべき魅力がある。熱狂的なデニム愛好家にとって、こだわりは細部にこそ宿るのだ。「アライア」のデニムについて愛好家たちはこう感嘆する。「あのバックヨークは信じられません。鳥の羽のようにアーチ状になっているのです。とてもセクシーでシャープで、革新的です」

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