1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 膵臓の治療で“12日間”入院することに→『医療保険に入っているから大丈夫』のはずが…40代男性が犯していた“痛恨のミス”

膵臓の治療で“12日間”入院することに→『医療保険に入っているから大丈夫』のはずが…40代男性が犯していた“痛恨のミス”

  • 2026.7.30
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

いざというときのために加入している医療保険。「毎月しっかり保険料を払っているのだから、入院すれば給付金がもらえる」と思うのが普通ですよね。

しかし、悪気は一切なくても、契約時の“ある勘違い”のせいで給付金が1円も支払われず、保険そのものも強制解除されてしまうケースがあります。

今回は、私が現役時代に担当したお客さまの事例をもとに、医療保険の加入時に最も陥りやすい「告知義務違反」の恐ろしい落とし穴についてお話しします。

入院給付金30万円を請求してきた契約者

私が現役時代に担当していたお客さまのご契約で、忘れられない一件があります。

48歳男性の会社員Aさんは、同僚の入院をきっかけに医療保険の見直しを考え、入院給付金1日1万円の契約にご加入されました。毎月の保険料は8,600円。1年8か月、一度も滞りなくお払込みいただいていました。

そんなAさんが、強いだるさと腹部の違和感で受診し、肝臓の治療のため12日間入院。退院後、入院給付金と手術給付金など合計約30万円をご請求されました。

加入3か月前の「要再検査」を告知していなかった

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ところが約3週間後、私のもとに保険会社の担当部署から連絡が入ります。

「加入前の健康診断で、要再検査の指摘があります」

調べると、Aさんは加入の3か月前に受けた健康診断で、肝機能の数値について「要再検査」と判定されていました。しかし自覚症状はなく、再検査にも行かないままお申込をされていたのです。

告知書を書く際、Aさんは「病院で病気と診断されたわけではない」「薬も飲んでいない」と考え、要再検査の事実を記載されませんでした。ご本人に確認すると、「隠したつもりはなかった」と仰っていたのを覚えています。

ですが告知で問われるのは、ご本人が病気だと思っているかどうかではありません。健康診断で異常や再検査を指摘された「事実」があったかどうかです。

給付金は不支給、契約も解除に

結果として、この件は告知義務違反に該当すると判断され、ご請求いただいていた約30万円はお支払いできませんでした。

医療保険契約そのものも解除となり、Aさんが20か月間で支払った保険料、合計約17万2,000円(8,600円×20か月)も、給付という形では戻ってきませんでした。

「自己判断で書かない」が一番多い落とし穴

私が現場で見てきた告知トラブルの多くは、悪意ある隠蔽ではなく、「自覚症状がない」「病名がついていない」「再検査を受けていない」といった自己判断によるものでした。しかし加入できるかどうかを判断するのは、申込者ではなく保険会社です。

告知書を書くときは、健康診断結果の原本を手元に置き、「要再検査」「要精密検査」「経過観察」の記載がないか一つずつ確認することをおすすめします。営業担当者への口頭説明だけでは、正式な告知として扱われないこともあります。

なお、告知漏れがあっても、すべてのケースで不支給や解除になるわけではありません。告知内容と入院原因との関係、契約条件、判明時期などによって判断は異なります。

Aさんは後日、「健康診断の結果を、加入前にもう一度見返しておけばよかった」と話していました。告知は、保険に入るための手続きではなく、いざというときに保障を受けるための備えでもあるのです。


執筆:あしふみ
大学卒業後、国内大手生命保険会社に35年間勤務。個人・法人営業、営業所長、企画・販売促進、事務部門などを経験。FP2級の知識と保険実務の経験を生かし、保険や家計に関する情報を分かりやすく伝えている。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ