1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. “ボーナス100万”を受け取った40代男性→「投資に回そう」と手続きを進めるが…その後、40代男性が直面した“思わぬ落とし穴”

“ボーナス100万”を受け取った40代男性→「投資に回そう」と手続きを進めるが…その後、40代男性が直面した“思わぬ落とし穴”

  • 2026.7.30
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

NISAを利用していると、「もっと商品を選びたい」「別の金融機関の方が使いやすそう」と感じることがあります。

現在のNISAは、つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円、合計で年360万円まで投資できます。ただし、投資枠が残っていても、金融機関を変えればすぐ新しい口座で買えるとは限りません。

今回は、NISA口座を変更して投資を仕切り直そうとした40代会社員の事例から、見落としやすい点を見ていきます。

ボーナス100万円で買うはずが…年初の積立1万5,000円で止まったNISA計画

40代男性会社員のAさんは、冬のボーナスから100万円を投資に回そうと考えていました。買いたかったのは、以前から気になっていた海外ETFです。

Aさんは、すでに銀行でNISAを利用していました。投資を始めた当初は、自分で商品を選ぶ自信がなく、窓口で相談できる銀行を選んだのです。

積立額は毎月1万5,000円。年間では18万円です。家計への負担を抑えながら、投資信託を少しずつ買っていました。

その後、Aさんはネット証券にも関心を持つようになります。低コストの投資信託やETF、上場株式などを選びやすいと感じたためです。

そこでAさんは、「NISA口座をネット証券に変えて、100万円で海外ETFを買おう」と考えました。

しかし、手続きを確認したところ、年初から銀行で毎月1万5,000円の積立が行われていたため、その年はネット証券でNISA買付ができないと分かりました。

Aさんは「まだ年間360万円の枠はかなり残っている」と思っていました。ところが、金融機関変更では、残り枠の金額よりも、その年にNISAで買付済みかどうかが重要になります。

さらに、銀行で保有している投資信託も、ネット証券のNISA口座へそのまま移すことはできません。売らずに持ち続ければ、銀行側で非課税のまま保有できますが、それをそのまま新しい金融機関にまとめて移せるわけではないのです。

Aさんは、金融機関を変えれば、今ある商品もこれから買う商品も整理できると思っていました。しかし実際には、年初の積立1万5,000円が、100万円の投資計画を先送りするきっかけになったのです。

枠は残っていても使えない?NISA変更で確認したい「買付済み」の意味

NISA口座は、同じ年に複数の金融機関で自由に使える仕組みではありません。利用できる金融機関は、1人につき1つです。

金融機関を変えること自体はできます。翌年分の変更手続きは前年の10月1日から受付が始まります。翌年1月1日から新しい金融機関でNISAが使えるようにするには、当年中(概ね12月末まで)に手続きを完了させる必要があります。ただし、変更したい年にすでにNISAで買付をしている場合、その年分については変更後の金融機関でNISA買付を始めることはできません。

たとえばAさんのように、1月に1万5,000円だけ積立が行われていた場合でも、その年にNISAを利用した扱いになります。年間360万円の枠のうち、340万円以上が残っていても、残りだけを別の金融機関で使うことはできません。

また、変更前の金融機関で買った商品は、変更後の金融機関へNISAのまま移せません。保有を続けるなら、変更前の金融機関に残して管理します。

口座をまとめたいからといって、急いで売却するのは慎重に考えたいところです。相場が下がっている時期なら損失が出る可能性があり、変更先で同じ商品を扱っていない場合もあります。

NISAの金融機関変更は、今持っている商品を移す手続きではなく、今後の買付先を変える手続きと考えると分かりやすいです。

成長投資枠でも、何でも自由に買えるわけではありません。上場株式、投資信託、ETF、REITなどが対象ですが、レバレッジ型・インバース型投資信託・信託期間20年未満の投資信託・毎月分配型の一部など対象外となる商品もあります。また金融機関ごとに取扱商品は異なります。

NISA変更は「残り枠」より「今年の買付履歴」を先に確認

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

NISAの金融機関を変えたいときは、「あといくら投資枠が残っているか」だけで判断しないことが大切です。

先に確認したいポイントは、次の通りです。

  • 今年、NISAで一度でも買付をしているか
  • 毎月の積立設定が動いたままになっていないか
  • 変更先で買いたい商品を扱っているか
  • 今の商品を売らずに残せるか
  • つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円をどう使うか

金融機関を変える理由が、商品数の多さや使いやすさであっても、今年すでに買付をしていれば、すぐに新しい金融機関でNISAを使えないことがあります。

また、今持っている商品は、必ず売る必要があるとは限りません。今の金融機関に残す商品、翌年以降に新しく買う商品、見直す商品を分けて考えると判断しやすくなります。

まず今年の取引履歴と積立設定を確認してみてください。そのうえで、変更後に買いたい商品、現在の金融機関に残す商品、翌年からの積立方針を整理します。

NISA口座の変更は、金融機関を見直すよい機会です。ただし、「枠が残っているから大丈夫」と思い込むと、予定していた時期に投資できないことがあります。変更を考えるときは、残り枠よりも先に、今年すでに買っているかを確認しておきましょう。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

の記事をもっとみる

注目コンテンツ