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70代母「記帳に行ってきて」通帳を渡された娘→確認すると“数十万”の出金が…母に起きていた“異変”に「言葉に詰まりました」

  • 2026.7.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

「親のお金に口を出すのは失礼」そう考えて距離を置いていたことが、かえって家族を追い込むことがあります。今回は、離れて暮らす母親の預金の減り方に気づいた50代女性Aさんのエピソードをご紹介します。

「親のお金に口を出すのは失礼だと思っていました」

50代のAさんは、70代の母親と離れて暮らしています。

父親はすでに亡くなり、母親は一人暮らし。年に数回、帰省するたびに様子を見てきました。ただ、お金の話だけは避けてきたといいます。

「母が父と一緒に貯めてきたお金です。子どもがあれこれ言うことではないと思っていました。元気なうちは自分で管理してもらうのが母のためだ、とも考えていて」

帰省のたびに「困っていない?」とは聞いていました。母親はいつも「大丈夫よ」と答えます。Aさんはそれで安心し、それ以上は踏み込みませんでした。どの銀行に口座があるのかも、知らないままでした。

「記帳したら、思っていたより減っていて」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

変化に気づいたのは、ある帰省のときでした。

「母から『記帳に行ってきてほしい』と頼まれたんです。そんなことを頼まれたのは初めてで、少し驚きました」

通帳を開いたAさんは、記帳された内容を見て言葉に詰まりました。数十万円単位の出金が、何度も並んでいたのです。

「思っていたより、ずいぶん減っていました。何に使ったのか聞いても、母は『覚えていない』と言うばかりで」

振り返れば、同じ話を繰り返すことが増え、以前は自分でしていた手続きを面倒がるようにもなっていました。不安になったAさんは、母親の取引先の銀行の窓口を訪れました。

「元気なうちにしかできないことがあります」

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窓口でAさんが事情を話すと、担当者はこう伝えました。

「出金の内容は、ご本人と一緒に確認する必要があります。そのうえで、お伝えしておきたいことがあります。銀行は、口座の名義人ご本人の判断能力が低下したことを知ると、財産を守るために取引を制限することがあります。そうなると、ご家族であっても原則として預金を引き出せなくなります」

「本人のための介護費用でも、ですか」

「近年は、ご本人のための支出が明らかな場合に応じる動きもありますが、対応は銀行によって異なります。いったん制限がかかると、原則として成年後見制度を利用することになります。ご家族が後見人に選ばれるとは限らず、専門家が選ばれた場合には報酬が続くこともあります」

Aさんは、しばらく黙っていました。

「では、いま母が元気なうちにできることは何かありますか」

「あります。ですから、今のうちなんです」

担当者が挙げたのは、あらかじめ登録しておくことで家族が代理で取引できる代理人カードや代理人届、家族に財産の管理を託す家族信託、元気なうちに後見人を決めておく任意後見契約でした。ただし代理人の制度は、利用条件や判断能力の低下後も使えるかが銀行によって異なるため、取引先への確認が必要とのことでした。

「そしてもうひとつ、どの銀行に口座があるのか、保険に入っているのか。それを共有しておくだけでも、いざというときの助けになります」
「そこがまさに、私が避けてきたところです」とAさん。

「お気持ちはよくわかります。ただ、すべてを開示していただく必要はありません。エンディングノートに口座や保険のことを書いておいてもらうだけでも違います」

Aさんは、こう話してくれました。

「口を出さないことが母のためだと思っていました。でも、聞かなかった数年が、いちばん備えられる時間だったんですね」

親が元気なうちに、できる範囲で備えを

では、親のお金について、子ども世代はどんな備えができるのでしょうか。

  • 銀行は、口座名義人の判断能力の低下を知ると取引を制限することがあり、家族でも原則として預金を引き出せなくなる
  • 近年は本人のための支出に限って応じる動きもあるが、対応は銀行によって異なり、請求書の提示を求められるなど手続きは厳格
  • いったん制限がかかると原則として成年後見制度の利用が必要で、家族が後見人になれるとは限らず、専門家が選ばれると報酬が発生し続けることもある
  • 元気なうちの備えとして代理人カードや代理人届があるが、利用条件や判断能力の低下後も使えるかは銀行により異なるため、取引先に確認しておく
  • 家族に財産管理を託す家族信託、元気なうちに後見人を決める任意後見契約という選択肢もある
  • すべてを開示してもらえなくても、エンディングノートに口座や保険の情報を書いておいてもらうだけで家族の助けになる
  • 預金の減り方や物忘れなど気になる変化があれば、取引先の銀行や地域包括支援センターに早めに相談を

「まだ元気だから大丈夫」ではなく、元気な今だからこそできる備えがあります。親のお金に不安がある方は、ぜひ早めに取引先の金融機関や専門家にご相談ください。


執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

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