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「カルティエ ウーマンズ イニシアチブ」20周年。バンコクで称えた、女性たちが未来を照らす瞬間

  • 2026.6.30

アワードセレモニーをタイ・バンコクのチュラロンコン大学で開催

©Victor Picon and ©Cartier

「カルティエ ウーマンズ イニシアチブ(CWI)」は、ビジネスを通じて社会を変える女性起業家たちを支援する国際プログラム。これまでに67カ国から330名以上の女性起業家を支援し、資金援助だけでなく、フェローシッププログラムやグローバルコミュニティへの参加機会を提供してきた。

2026年度のアワードセレモニーでは、19カ国から選出された30名のフェローが登壇し、フェローたちの起業家としての歩みや革新的なアプローチが紹介された。さらに、人権弁護士で「正義のためのクルーニー財団(Cloony Foudation for Justice)」共同創設者のアマル・クルーニー氏による基調講演や「バンコク ダンス アカデミー」によるパフォーマンスなどを実施。女性起業家たちの創造性とインパクトを祝福する一夜となった。

アマル・クルーニーが贈った3つのメッセージ

©Victor Picon and ©Cartier

アマル・クルーニー氏の基調講演で語られたのは、3つのメッセージ。「最初の人になることを恐れないこと」「感謝を忘れないこと」、そして「勇敢であること」だ。「何かをしない理由として、“これは前例がないから”という言葉をこれまでよく言われてきました。しかし私にとっては、それこそが“やるべき最高の理由”に思えるのです」とクルーニー氏。現状は出発点であり、ゴールではない。「他人が過去に何をしたか、あるいは他人が自分に何を期待しているかに縛られる必要はない」と語った。続けて、「人間の資質の中で、最も重大な影響を与えるのは“勇気”だと気づきました」とクルーニー氏。「最も賞賛すべき人々とは、特定の価値観をただ支持すると口にする人ではなく、たとえ代償を払うことになろうとも、その価値観のために立ち上がる人たちです。ヒーローは生まれながらにしてヒーローではない。適切な瞬間に、正しいことを行う勇気を見出した“普通の人々”なのです」と、フェローたちの挑戦に温かな賛辞を贈った。

インポスター症候群から考えるリーダーシップ

©Victor Picon and ©Cartier

セレモニーに先立ち開催された「カルティエ ダイアローグ」では、現代のリーダーシップをめぐる複数のセッションが行われた。第1部「Unveiling Brilliance: Imposter Syndrome & The Path to Authentic Leadership」では、カルティエ カルチャー&フィランソロピー会長のシリル・ヴィニュロン氏と、心理学者のリサ・オーベ・オースティン氏が登壇。テーマとなったのは、自分の成功を実力として受け止められず、「自分はここにふさわしくない」と感じてしまうインポスター症候群について。

ヴィニュロン氏は、自身もかつて人前に立つことが苦手で、リーダーに向いているとは思っていなかったと明かす。22歳で思いがけず多国籍チームを率いることになった経験を振り返りながら、「リーダーシップとは、生まれ持った資質ではなく、実践を通じて学ぶもの」と語った。大切なのは、自分自身への不安にとらわれるのではなく、伝えるべきメッセージに集中すること。また、オースティン氏は、インポスター感情に直面したときこそ「逃げ出さないこと」が重要だと語る。「自分だけが異質に感じられる場面では、無意識に端へ退こうとしてしまう。けれど、あえて中心にとどまり、発言し、存在を示すこと。その積み重ねが、違和感を乗り越える力になる」と参加者たちにエールを送った。

ステレオタイプを超える女性たちの強さ

©Victor Picon and ©Cartier

第2部「Strength Reimagined: Leadership, Kindness and the Courage to Defy Expectations」では、引き続きシリル・ヴィニュロン氏、先述のアマル・クルーニー氏、プロボクサーで映画制作者、ユニセフ大使でもあるラムラ・アリ氏が登壇。

アリ氏は、女性ボクサーとしてキャリアを築くなかで、男性との報酬格差や「ボクサーらしさ」という固定観念に直面してきたと語った。「ボクサーは常に、“攻撃的”“男勝り”といった目で見られがちです」。それでも彼女は、自らの可能性を狭めることを選ばなかった。「自分は常に進化し続けていて、周囲のほうが私に追いつく必要があるのだと考えるようにしています」

一方、アマル・クルーニー氏は、弁護士として世界各地で裁判官や警察官の研修を行ってきた経験から、性差別的な言葉を受けることもあったと明かした。「“あなたのような素敵な女性が、なぜ刑務所なんかに行くのですか?”と言われたこともあります」とクルーニー氏。「私は、“私のクライアントの多くがそこにいるからです。本来はそこにいるべきではない人たちですが”と説明しなければなりませんでした」

©Victor Picon and ©Cartier

そうした固定観念を乗り越える方法は、「ただ目の前の仕事に集中し、自分の人生を進めていくこと」だと語ったクルーニー氏。「そうすれば、あなたの成果が、そのステレオタイプが間違っていたことの証明になります」。同時に彼女は、自身が安全な環境で育ち、教育を受ける機会を得られたからこそ、今の場所に立てているとも強調。世界にはいまだ、安全や教育の機会を持てない少女たちが数多く存在すると訴えた。「不当な暴力や虐待を生き延びてきた女性たちにとって、“自分の姿が人々の目に触れ、自分の声が届くこと”がどれほど重要であるかを痛感しています」とクルーニー氏。存在を可視化し、物語を語ること。それは、変革への第一歩になり得る。

20年を経て、カルティエ ウーマンズ イニシアチブが示したのは、夢を語るだけでなく、それをビジネスで現実に変えていく女性たちのパワー。誰かの挑戦が、また次の誰かの背中を押す。バンコクでの一夜は、そんなポジティブな連鎖が世界へ広がっていく、新たな道を照らすものだった。

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