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見た目や体型、恋愛について差別的な発言が 自分のことじゃなくてもモヤモヤ…どうする?

  • 2026.6.29

はーいみなさん、ごきげんよう!満島てる子です。

6月はプライドマンス。
LGBTQ+の当事者やコミュニティについて、その存在を祝福するというのはもちろん。
ジェンダー/セクシュアリティによる差別や偏見を無くすべく、様々な情報発信や提言が、各所で積極的に行われる期間でもあります。

Sitakke
ライター・満島てる子

私もひとりのゲイとして、そして、メディアに関わる人間として。
毎年このプライドマンスがやってくるたびに、自分ができることは何なのかを考え、取り組んだりしているんだけれど。
今年はこのコラム執筆を通じて、自分なりに世の中にメッセージを届けてみようかなぁなんて。

そう考えているタイミングで、「これは取り上げるべきだな」と思ったお手紙が一通。
ご紹介したいと思います。

読者からのお悩み「自分に向けられたものでなくとも、他者の差別的な発言によってなんだか傷ついたり、イライラしたりしてしまい…」

Sitakke
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Sitakke

おおお、これはまさしく。
LGBTQ+の当事者はもちろん、様々なマイノリティが日々出会い、それによって苦しんでいる、「アンコンシャスバイアス」と「マイクロアグレッション」の、典型例中の典型例じゃないのよ!
しかも、それによって職場の「心理的安全性」が下がっちゃってるという、最も忌避すべきパターンだよね。

「とうきび」さん、まずは投稿してくれてありがとう。
そしてあなた、結構大変だったろうし、今もしんどいんじゃないかしら。
仕事に影響が出ていないといいなぁと、聞いた側としては心配になっていたりします。

…あ、突然ポンポンポン!と、3つほど専門用語っぽいものをいきなり並べてしまいました。ごめんなさい。
どれも近年、労働環境の改善という点からも注目され、周知されるようになってきたワードたちですが、それぞれの意味、念のために解説しておかなくっちゃね。

今だからこそ、きちんと知っておきたい

Sitakke
今月もたくさんの場所での講演などがありました

というわけで、3番目に登場した「心理的安全性」から説明することにしましょうか。

まずですがこれは、とあるチームや組織、人間関係に注目したときに、その中で拒絶や非難といったマイナスのレスポンスに怯えることなく、安心して自分の意見を述べたり、不安無く行動ができるかどうか、その度合いを指して使われる単語です。

近年、この「心理的安全性」を高い状態で維持しようと注力する企業は、すごく増えたように思います。そちらの方が仕事もスムーズに行くし、何よりも働きがいがあるからです(これ、Google社の社内調査とかが有名ですよね)。
と同時に、その低下をもたらす要因であるハラスメントなどについては、厳しい目が向けられるようになりました。

にも関わらず、ハラスメントに苦しむ事案は後を断たないように思います。

原因の一端を担っているのが、1番最初に登場した「アンコンシャスバイアス」。
日本語にすれば「無意識の偏見」となるわけですが、これは、人間が自分でも気づかないうちに抱え、血肉にしてしまっている、様々な差別的な考え方や価値観のこと。

「男性同士の恋愛は気持ち悪い」という、「とうきび」さんの同僚の考え方は、おそらくこれにあたるものでしょう(いまだにこういう方いらっしゃるんだなぁ、残念)。

本人としてはそれが、社会的に当然のもの、言ってなんの問題もないことだと思っているんだろうね。

ですが、発信者に明確な意図がなくても、こうした差別や偏見というのは、行動や言葉というかたちで外部に露呈した瞬間、当事者はもちろんのこと、周囲の人たちに不適切な負荷を与えてしまいます。
それが2番目に登場した「マイクロアグレッション」(訳は「小さな攻撃」)。

この発生を防ぐ手立てをとり、各人のアップデートを促さないと、集団の「心理的安全性」はあっという間に低下してしまうのです。

この「マイクロアグレッション」については、悪気なく「おかま」「ホモ」という単語を使ってしまったり、異性愛者には聞かない質問(「どんなセックスするの?」とかね)を同性愛者に投げかけたりするというのが、事例としてよく取り沙汰されます。

ですが、お手紙から察する限り、「とうきび」さんのパターンも「マイクロアグレッション」を受けた事例だと言えるんじゃないかしら。

例1は、別のセクシュアリティではあれど、性的マイノリティの当事者の前で性的マイノリティを貶めているわけだし。
例2は、自分に対してではなくとも、外見による不当な扱い(世に言う「ルッキズム」ですね)が、性差別的な側面も伴って自分の職場で行われているのを目にしているのであって。

そりゃその同僚男性のこと、怖くなっても仕方ない。
だってある意味攻撃されている、あるいは今後その攻撃の対象になりうるって言われているのと、一緒なんだもの。

ヘイトスピーチ/ヘイトクライムや、ジェノサイドのように明確ではなくとも。
それらと地続きなかたちで、日常には差別が実際に存在しているし、それがひとつの組織のあり方までをも不健全にしてしまいかねないんだよなぁと、「とうきび」さんの話からいちゲイとして、あたしは思ったりしています。

あたしなりのAnswer

Sitakke

さて、「とうきび」さん。
あなたの置かれた状況、被った攻撃を、前半のように分析した上で。

それを前提にしながら、ここからあなたの「自分に矢印が向いてなくても、差別や、容姿を貶す発言を、どこまで指摘していいのか」という質問に答えていこうと思うんだけれど。

これについては、あたしの答えは明確です。

「余力の許す範囲で構わないから、指摘できる限り指摘しよう」と、「とうきび」さんには伝えたいんだよね。
どういうことか、ちょっと補足していこうかな。

マイクロアグレッションというのは、「小さい」の名の通り、非常に細々としたかたちで表れますし、見逃されやすいものです。

また、小さいがゆえに「大ごとにする話でもないか」と、誰かがその存在に気づいていたとしても、大抵の場合スルーされがち。

ですが、大きな崩壊というものは、ほとんどの場合小さなほころびから発生します。

それと同じく、誰かの発したマイクロアグレッションを放置してしまうことは、その人の行動がより重大で深刻かつ、より差別的で攻撃的な方向性につながっていく、確かなきっかけになりかねません。

(事実、今「とうきび」さんの同僚はあなたに挨拶すらしないわけで。他者への攻撃性が高まっているとも言えますよね)

だからこそ。
目の前で、直接自分に対したものでなくても、何がしかの攻撃が行われていた場合。
その発信者にはぜひ、「それ、マイクロアグレッションっていうらしくて…」と、言葉によって冷静に諭し、反省をうながしてみてほしいんだよね。
それが、あなたも含めた周囲の人たちにとってはもちろん、その発信してしまった人にとっても生きやすい環境を作っていく、着実な一歩になるはずだから。

とはいえです。
じゃあ「とうきび」さんが今からその同僚男性と向き合うべきかというと、それって本当にパワーを使うことになるわよね。

まずもって「話聞いてくれる?」と、挨拶しないほど冷え切った関係の相手にあなたから声をかけなきゃいけないわけですし。

加えて、どうして最近雑談しなかったのかの説明をした上で、相手のマイクロアグレッションを指摘しなきゃいけない。

言葉遣いや話の運び方も、ものすごく気を使うことになるはず。
想像するだけで大変すぎる……!

ですし。

もしその対話を進めていくことに仮になったとしても、例1について根本から説明するとなれば、他の問題も生じてくるように思います。

種を摘み続ける大切さ

Sitakke
お花シリーズ「カラー」黄色は「壮大な美」紫は「夢見る美しさ」など意味も色とりどりです

あなたはバイセクシャルだと、あたしに対して打ち明けてくれた(ありがとね!)。

でもカミングアウトというのは、それこそ心理的安全性が担保されている相手に対して行うのでなければ、当事者のいのちを脅かしかねません。

それこそマイクロアグレッションを振り撒いてしまうような相手に、自身の性指向を開示するというのは、あまりにリスクが高すぎる。
(LGBTQ+の当事者の多くがクローゼットを選択する背景には、こうした事情が多くあるように思います)

なので、今回の事例についていえば。
あたしは「とうきび」さんに、もしその余力があるのであればという条件をつけた上で、目下のアドバイスをお届けしたい。

自らを危険に晒すべきだなんて、そんなことをコミュニティの仲間に伝えたくはない。
我々にはそれぞれなりのサバイブの仕方があって、然るべきなのですから。

でも「とうきび」さん。
今後もしまた別のパターンででもマイクロアグレッションと出会うことがあったなら、次はあなたなりにはっきり指摘できるよう、どうか注力してみてください。

日常の瑣末なことだと思うかもしれない。でもそうした種を摘み続け、この社会に差別が芽吹き根付くことを許さないというのがすっごく大事。

それが、様々なマイノリティたちが生存し、幸せに暮らしていくための、未来の土壌を作ります。
それぞれが自分たちの尊厳を当たり前に誇ることができる、豊かな社会の実現につながっているんです。

ミクロからマクロまで。いろんな闘いを、これからも続けていくこと。
その大切さをあたしは、今回のお手紙から改めて考えさせられたように思います。

このコラムが、「とうきび」さんのこれからに生きるものでありますように……!

ま・と・め♡

というわけで本日はプライドマンスと結びつくかたちで、日常に潜む差別にフォーカスを当ててみました。

マイクロアグレッションって、あたしも含め、誰しもやってしまいがちなこと。
自らのアンコンシャスバイアスに常にアンテナを張れる人でありたいなぁ。
読者の皆さん、ぜひ一緒に価値観、アップデートしていきましょうね!

では今回はこの辺で。Happy Pride!Sitakkeね〜!

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部あい
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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