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『スーパーガール』のやんちゃ犬クリプトも…フィルモグラフィからひも解くジェームズ・ガンの深い“動物愛”

  • 2026.6.28

数々の話題作を手掛けてきたジェームズ・ガンが舵を取る新生DCユニバースの第2弾として、大きな注目を集める『スーパーガール』(公開中)。スーパーマンのいとこ“スーパーガール”ことカーラ・ゾー=エル(ミリー・オールコック)の活躍を描く本作でひときわ目を引くのが、スーパードッグのクリプトだ。

【写真を見る】悲しい過去を背負ったロケットも…ジェームズ・ガンの動物への優しいまなざしをプレイバック(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』)

ガンがメガホンを握った2025年の『スーパーマン』でも大活躍を見せたクリプトは、今作でも重要な役割を担っている。これまで動物へあたたかなまなざしを向けてきたガンの“動物愛”について、フィルモグラフィを振り返っていきたい。

初期作『スクービー・ドゥー』でも見られる犬と人間の絆

ガンにとってメジャーでの初仕事となった『スクービー・ドゥー』 [c] Warner Brothers. Courtesy Everett Collection.
ガンにとってメジャーでの初仕事となった『スクービー・ドゥー』 [c] Warner Brothers. Courtesy Everett Collection.

ガンが初めてメジャー作品の脚本を手掛けたのが、2002年の『スクービー・ドゥー』。本作は、人間の言葉を話す大型犬スクービー・ドゥーとその飼い主シャギー(マシュー・リラード)ら4人の人間からなる探偵事務所「ミステリー社」が各地で起こる怪事件を解決する人気アニメを実写化している。

仲間割れによって解散したミステリー社の面々が巨大なテーマパーク島に集められ、島を訪れた若者がまるで別人のようになってしまうという怪奇現象を調査することになる――そんな物語の中心にいるのがスクービーだ。

犬のスクービーの活躍をコミカルに描く(『スクービー・ドゥー』) [c] Warner Brothers. Courtesy Everett Collection.
犬のスクービーの活躍をコミカルに描く(『スクービー・ドゥー』) [c] Warner Brothers. Courtesy Everett Collection.

人間たちがいがみ合いギクシャクするなか、純粋無垢な存在として癒しと笑いを与えてくれるスクービー。しかしただのマスコットではなく、自分の意思を持った存在として描かれ、シャギーとの喧嘩から窮地に陥る場面も。親友のシャギーをはじめとする仲間たちがスクービーのために団結して立ち上がるという“絆”が試される展開には、動物を単なるペットとして扱わないガンの視点が表れていた。

人間の本質を映しだすガン作品の多彩な動物たち

その後も脚本を手掛けた『ドーン・オブ・ザ・デッド』(04)では、リメイク元の『ゾンビ』(75)にはなかった犬の要素をプラス。家族を亡くした少女ニコール(リンディ・ブース)が出会った犬のチップスとの友情や彼を利用した作戦が招く混乱を描いた。

嫌われものであるネズミをはみ出し者たちと重ね合わせた(『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』) [c] Warner Bros. / Courtesy Everett Collection
嫌われものであるネズミをはみ出し者たちと重ね合わせた(『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』) [c] Warner Bros. / Courtesy Everett Collection

また、DC映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(21)でも、ネズミを操るラットキャッチャー2(ダニエラ・メルシオール)というキャラクターを通じて、嫌われものでありながらも街の片隅で必死に生きる“弱者”であるネズミへのまなざしと、社会のはぐれ者たちへの共感を重ね合わせた。

ワシのイーグリーの愛らしい仕草が満載の「ピースメイカー」 [c]HBO Max / Courtesy Everett Collection
ワシのイーグリーの愛らしい仕草が満載の「ピースメイカー」 [c]HBO Max / Courtesy Everett Collection

本作から誕生したスピンオフドラマ「ピースメイカー」でも、エゴイストで粗野なピースメイカー(ジョン・シナ)が、相棒であるワシのイーグリーにだけは父親のような一面を覗かせる様子を通じて、キャラクターの心の底にある優しさを表現。従順でかわいらしい一方、持ち前の獰猛さで敵に襲いかかるなど、イーグリーも“動物らしさ”を失わない存在として描かれた。

ロケットが象徴する“傷ついた動物”への優しいまなざし

ガンが動物への愛情と同様に一貫して描き続けてきたのが「社会から排除されてきた者」というテーマ。そんな両テーマが最大限にリンクしているのが、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズだ。

【写真を見る】悲しい過去を背負ったロケットも…ジェームズ・ガンの動物への優しいまなざしをプレイバック(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』) [c] Marvel / © Walt Disney Studios Motion Pictures / Courtesy Everett Collection
【写真を見る】悲しい過去を背負ったロケットも…ジェームズ・ガンの動物への優しいまなざしをプレイバック(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』) [c] Marvel / © Walt Disney Studios Motion Pictures / Courtesy Everett Collection

個性豊かなキャラクターのなかでもガンが「ずっと物語の中心だった」と語るのが、ガーディアンズの頭脳役であるアライグマのロケット。「彼は本物の動物に近い。つまり純粋で小さな動物が歩き、話し、銃を撃ち、機械を作れるようになるというコンセプトなんだ」とコメントしているように、コミック版の漫画っぽいキャラクター像ではなく、あくまで改造された小動物として表現されている。ちなみにロケットを描くにあたり、1作目の製作時にはオレオというアライグマとずっと一緒に過ごし、観察したそうだ。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』ではロケットの残酷な過去が明らかに [c] Marvel / © Walt Disney Studios Motion Pictures / Courtesy Everett Collection
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』ではロケットの残酷な過去が明らかに [c] Marvel / © Walt Disney Studios Motion Pictures / Courtesy Everett Collection

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(23)は、瀕死の危機に陥ったロケットを助けるため、仲間たちが改造動物を生みだしたハイ・エボリューショナリー(チュクーディ・イウジ)に立ち向かう…というストーリーになっており、現実に目を背けることなく、動物実験の残酷さとその先にある救済を真正面から描いている。

動物実験に「NO」を突きつけた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』 [c] Marvel / © Walt Disney Studios Motion Pictures / Courtesy Everett Collection
動物実験に「NO」を突きつけた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』 [c] Marvel / © Walt Disney Studios Motion Pictures / Courtesy Everett Collection

識別番号で扱われる動物たちにライラ、ティーフス、フロアという名前を与え、夢を語らせるなど感情を持つ存在への共感、動物がありのままでいることへの肯定、そして動物たちが幸せに過ごせる未来への希望を示し、動物保護団体PETAから「アニマルライツの傑作」と絶賛され、賞を贈られた。

ガンの愛犬から生まれたやんちゃなスーパードッグ、クリプト

監督作『スーパーマン』では、脚本執筆の開始後に引き取った愛犬オズがスーパーパワーを持っていたらどんなに大変だろうかと考え、これまでの『スーパーマン』の実写映画では描かれてこなかったスーパードッグのクリプトを登場させることにしたガン。性格だけでなく、見た目や遊び方などもオズを反映させ、キュートなキャラクターを作り上げている。

愛犬オズに合わせて、クリプトも雑種になっている(『スーパーマン』) [c] Warner Bros. /Courtesy Everett Collection
愛犬オズに合わせて、クリプトも雑種になっている(『スーパーマン』) [c] Warner Bros. /Courtesy Everett Collection

コミックで描かれてきた忠犬なクリプトとは異なり、その姿はやんちゃでやりたい放題。しかし、傷だらけのスーパーマン(デイヴィッド・コレンスウェット)を基地まで運んだり、宿敵レックス・ルーサー(ニコラス・ホルト)の武器を“おもちゃ”として噛み噛みしたり…主人の窮地に駆けつける人間の“一番の友”としての大活躍も見せる。

品行方正なスーパーマンの犬にしてはあまりにやんちゃだが、ラストで「犬は飼い主に似る」という言葉と共にスーパーガールの犬であることが明らかに。犬の特性を活かした『スーパーガール』への鮮やかな橋渡しという役割も担った。

『スーパーガール』で描かれるカーラとクリプトの絶対的な信頼関係

そして製作としてガンが名を連ねる『スーパーガール』でも、物語の心臓部としてクリプトは重要な役割を担っている。

カーラ・ゾー=エルが少女と共に宇宙を股にかけた冒険を繰り広げる(『スーパーガール』) [c] & TM DC [c] 2026 WBEI
カーラ・ゾー=エルが少女と共に宇宙を股にかけた冒険を繰り広げる(『スーパーガール』) [c] & TM DC [c] 2026 WBEI

急襲してきた謎の敵クレム(マティアス・スーナールツ)の毒にクリプトが侵され、カーラは3日間というタイムリミットのなか、解毒薬を求め、同じくクレムに家族を襲われた少女ルーシー(イヴ・リドリー)や宇宙最凶の賞金稼ぎロボ(ジェイソン・モモア)と共に銀河を股にかけた冒険を繰り広げることに。

故郷を失った壮絶な過去を持つカーラにとって、クリプトン星で過ごした日々とつながる唯一の拠りどころであるクリプト。母の葬儀での子犬クリプトとの出会いから、地球での寂しい時間、そして気ままに宇宙を放浪しながら酒に溺れる現在…とカーラの苦い記憶をたどる本作で、どの場面にもいるのがクリプトであり、描写の積み重ねによって強固な信頼関係を浮かび上がらせている。

やんちゃないたずらっ子だが、いざという時に頼りになるスーパードッグ(『スーパーマン』) [c] Warner Bros. /Courtesy Everett Collection
やんちゃないたずらっ子だが、いざという時に頼りになるスーパードッグ(『スーパーマン』) [c] Warner Bros. /Courtesy Everett Collection

クリプトのために怒りを露わにし、時には危険な罠に飛び込むカーラ。その存在は彼女の行動原理そのものとなっている。愛するクリプトを守るためならどんなつらい状況でも、どんな危険な相手でも立ち上がるという覚悟からは、“動物がもたらすもの”を感じることができるはずだ。

『スーパーガール』は公開中! [c] & TM DC [c] 2026 WBEI
『スーパーガール』は公開中! [c] & TM DC [c] 2026 WBEI

スクービー・ドゥーからクリプトまで、ジェームズ・ガンの作品に繰り返し登場する動物たちは、人間と動物の絆や弱者への共感が込められている。動物をありのままに描きながら、愛情を示してきたガンの深い動物愛を、これらの作品を通じてチェックしてみてほしい。

文/サンクレイオ翼

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